唐家璇

唐家璇（とう かせん）

唐家璇（タン・チアシュアン、1938年1月17日 - ）は、中華人民共和国の政治家、外交官です。中国共産党中央委員、外交部長、国務委員（副首相級）を歴任し、中日友好協会会長も務めました。

生い立ちと学歴

1938年1月17日、江蘇省鎮江県に生まれました。1955年から1958年まで上海復旦大学外文系英語学科で学び、その後、北京大学東洋語系日本語学科に移り、1962年に卒業しました。日本語に堪能で、これが後の外交官としてのキャリアに大きく影響しました。

初期のキャリア

1962年から1964年まで放送事業局対外部日本語係で勤務し、1964年から1969年までは外交部翻訳隊で翻訳に携わりました。文化大革命の影響で1969年から1970年にかけて外交部五七幹部学校に下放されましたが、1970年に復権し、対外友好協会副処長、日中友好協会理事に就任しました。1973年11月には中国共産党に入党しました。

外交官としての活躍

1978年、駐日大使館第二秘書として日本に赴任し、後に第一秘書に昇格しました。1983年には中央国家機関外事整党工作指導小組弁公室副主任、1985年には外交部アジア局副局長を歴任し、外交官としてのキャリアを積み重ねました。

1988年には駐日大使館公使級参事官として再び来日し、後に公使に昇格しました。1991年に外交部部長補佐官、1993年に外交部副部長に就任しました。1997年9月の第15回党大会で党中央委員に選出されました。

1998年、銭其琛の後任として外交部長に就任しました。外交部長時代には、1999年の台湾大地震の際に「わが国の一部である台湾省」と発言し、中華民国からの反発を招きました。2001年には靖国神社問題に関する田中眞紀子外務大臣との会談で「（靖国神社参拝を）やめなさいとゲンメイしました」と発言し、一部から傲慢で内政干渉であるとの批判を受けました。

2002年11月の第16回党大会で中央委員に再選され、2003年には国務委員に昇格しました。2004年には中国国際関係学会会長に就任しました。

北朝鮮問題への関与

2005年2月に北朝鮮が核保有国宣言を行うと、同年7月には胡錦濤総書記の特別代表として訪朝し、金正日総書記と会談しました。2006年10月に北朝鮮が核実験を行った際も、主席特別代表として訪朝し、金正日に対し核再実験の自制と六カ国協議の再開を強く求めました。これらの活動から、北朝鮮問題に深く関与したことが伺えます。

引退とその後

2007年10月の第17回党大会で中央委員を退任し、2008年3月17日の全国人民代表大会で引退しました。2009年には中日友好協会名誉顧問、2010年には第5期新中日友好21世紀委員会首席委員（座長）を務め、2012年3月15日に中日友好協会会長に就任しました。引退後も日中関係の発展に尽力しています。

日本との関係

1970年代初めまで、外交部翻訳隊及び対外友好協会勤務中に訪中した日本人の通訳を務め、司馬遼太郎や有吉佐和子などと面識がありました。そのため、『街道をゆく』や『有吉佐和子の中国レポート』などの著作にもその名前が登場しています。また、2011年には、SMAPの北京公演の際に人民大会堂で会見し、日本の芸能界関係者とも交流がありました。

まとめ

唐家璇は、長年にわたり中国の外交を担い、日中関係の改善に貢献した重要な人物です。外交部長や国務委員などの要職を歴任し、北朝鮮問題など国際的な問題にも積極的に関与しました。そのキャリアは、中国外交史において重要な足跡を残しています。

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