唐橋君山

唐橋君山について

唐橋君山（からはし くんざん、1736年 - 1800年）は、江戸時代中期から後期の豊後国岡藩に仕えた医師であり、儒学者としても知られています。彼は名を剛克（ごうこく）とし、字は美卿（びきょう）、通称は世済（せいさい）とされています。君山は、特に『豊後国志』の編纂によってその名を広め、多くの後世の研究者たちに影響を与えました。

生い立ちと教育

君山は、儒医である唐橋秀成の子として江戸で生まれ育ちました。彼もまた、父と同じく医学の道を選びましたが、同時に詩や儒学の教育を受けることにも力を入れました。特に、高野蘭亭や大内熊耳といった名士から詩を学び、さらに屋代弘賢や古屋昔陽とも友好関係を築きました。また、服部南郭の門下にも出入りし、広範な知識を得ることができました。

医師としての活動

君山は1784年、豊後国岡藩の第8代藩主である中川久貞に招かれ、侍医として尽力し始めました。1787年には、岡藩内に設立された医学館の教授として任命され、古医方などの医学を教える傍ら、漢学や詩文の教授も行いました。久貞は彼のために岡城の西に大勝院内に円通閣を築き、ここでは田能村竹田（田能村孝憲）を含む多くの文人が集まり、詩や書画の創作を行う場となりました。

地誌『豊後国志』の編纂

1797年、豊後国における地誌編纂の幕命を受けた君山は、翌年には岡藩の第9代藩主中川久持から正式に地誌の編纂を任されました。彼は田能村竹田や伊藤鏡河（伊藤猛）らとともに実地調査を行い、その後の編纂作業を進めましたが、残念ながら1798年に病に倒れ、業績を完成させることなく1800年に亡くなってしまいました。君山の死後、竹田や伊藤はその仕事を引き継ぎ、最終的に享和3年（1803年）には全9巻からなる『豊後国志』が完成しました。この作品は、享和4年に第10代藩主中川久貴によって幕府に献納され、後に他の研究者たちにも活用されることとなります。

その他の業績

さらに、君山は『豊後国風土記』の注釈本である『箋釈豊後風土記』も執筆しています。このように、彼の業績は医学だけでなく、地理や歴史においても重要な位置を占めており、江戸時代の学問の発展に寄与したと言えるでしょう。

唐橋君山は、生涯を通じて学問に精進し、後世の文人や研究者に大きな影響を与えた重要な人物として、歴史に名を刻んでいます。

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