屋代弘賢

屋代 弘賢の生涯と言業績

屋代 弘賢（やしろ ひろかた）は、江戸時代中期から後期にかけて活躍した重要な国学者であり、江戸幕府の幕臣としても知られています。彼の通称は太郎、また号は輪池です。弘賢の家系は江戸神田明神下の御家人であり、父は屋代忠太夫佳房でした。生まれた時の初名は詮虎で、その後、諱を詮賢、弘賢、さらには詮丈へと改めました。

経歴と出仕

弘賢は、7歳の頃から幕府右筆である森尹祥に書を習い始め、1779年、22歳で家督を継ぎました。天明元年（1781年）には西丸台所に出仕し、翌年には柴野栗山に従いながら幕府の表右筆として働きました。天明6年（1786年）には、本丸附書役に任じられ、さらには寛政5年（1793年）には奥右筆所の詰支配勘定格に昇進します。文化元年（1804年）には、勘定格として旗本に昇進し、文化2年（1805年）にはロシアへの返書を清書するという重要な任務を果たしました。

国学者としての功績

弘賢は塙保己一に国学を学び、特に『群書類従』の編纂に尽力しました。また、和学講談所の会頭としても知られ、その活動を通じて多くの知識を広めました。彼の働きが評価され、死没する頃には奥右筆所詰の奥右筆格にまで昇進していました。

能書家として知られる弘賢は、有職故実や書誌学に長けており、幕命により『寛政重修諸家譜』や『古今要覧稿』、さらには『集古十種』といった書物の編纂に従事しました。また、古社寺の調査を行った際の記録を『道の幸』という著作にまとめ、これにより当時の文化や歴史に対する理解を深めることに寄与しました。

蔵書家としての役割

弘賢はまた、名高い蔵書家でもありました。上野不忍池の身近に、彼の蔵書である5万冊を収めた書庫を築き上げ、この書庫を「不忍文庫」と名付けました。この蔵書目録は朝倉治彦によって編纂された『屋代弘賢・不忍文庫蔵書目録』として、2001年に出版されています。

主な著書

屋代弘賢の著書には以下のものがあります。

• - 『金石記』：風俗絵巻図画刊行会・芸苑叢書（1923年）
• - 『参考伊勢物語』：岩波文庫（1928年）
• - 『古今要覧稿』：全6巻別巻1（原書房、1981-1982年）

関連項目

弘賢は、小野蘭山や阿波国文庫、さらには兎園会や波除碑との関連もあります。彼の業績は後の国学者たちにも多大な影響を与えました。

参考文献

彼に関する詳しい情報は『森銑三著作集. 第7巻 人物篇』などで確認することができます。また、国文学研究資料館には、彼の蔵書印データベースが存在し、今も多くの人々に利用されています。

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