唐橋在家

唐橋在家（からはし ありいえ）は、江戸時代中期に活躍した公卿で、唐橋家25代当主にあたります。官位は正二位・権大納言にまで昇り、号を蘭園と称しました。彼の名が特に知られるのは、江戸期の有職故実に関する深い研究です。

在家は、元服の儀式について詳細に記した『冠儀浅寡抄』、笏（しゃく）に関する考察をまとめた『畢用録』、高齢の公卿の装束について論じた『宿徳装束抄』、そして狩衣（かりぎぬ）について考察した『布衣群色便蒙抄』など、数多くの著作を残しました。

これらの著作の中でも、『宿徳装束抄』や『布衣群色便蒙抄』には、従来の通説を鵜呑みにせず、生地について詳細な検証を行うなど、彼の考証的な研究姿勢が顕著に表れています。単なる知識の集積に留まらず、批判的な視点を持って史料を読み解こうとする姿勢は、当時の学問研究において特筆すべき点と言えるでしょう。

また、在家は永田忠原と親交があり、その関係は彼の家族にも影響を与えました。実子の唐橋在熙は、忠原の弟子となり、学問の指導を受けています。在家の日記である『蘭園記草』は、当時の公家社会の様子や、彼の研究活動を知る上で貴重な資料となっています。さらに、彼の逸話は『閑窓自語』にも記されており、その人となりを垣間見ることができます。

唐橋在家は、公卿としての職務をこなしながら、有職故実の研究に情熱を注ぎ、数多くの著作を通じて後世に貴重な知識を伝えました。彼の考証的な研究態度は、近世の学問研究に新たな視点をもたらし、多大な影響を与えたと言えるでしょう。

系譜
父：唐橋在廉
母：不詳
正室：黒田長貞娘
男子：唐橋在熙
三男：黒田豊熈 - 秋月黒田家分家
生母不明の子女
男子：五条為徳 - 五条為俊の養子、室は広橋伊光娘
女子：光子 - 大原重尹室、大原重徳生母
男子：堯道 - 清凉寺住持
女子：文子 - 北野天満宮社僧松梅院禅泰室
女子：就子 - 杵築国造室

関連項目
有職故実

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