唐津港

唐津港：歴史と自然が織りなす、佐賀県の海の玄関口

佐賀県唐津市に位置する唐津港は、古くから栄え、現代においても重要な役割を担う多機能港湾です。江戸時代後期、石炭の積出港として松浦川河口部に開港した歴史を持ちます。その後、唐津鉄道の開通などにより明治30年頃には現在の西港地区に移転。大正時代にかけては国内有数の貿易港として発展を遂げました。しかし、石炭産業の衰退とともにその地位は変化していき、現在では異なる側面を見せています。

現代の唐津港は、多様な機能を併せ持つ港湾として発展を続けています。LPGガスや建築資材、海砂などの物流拠点としての役割は大きく、地域経済を支える重要なインフラとなっています。同時に、新鮮な水産物が水揚げされる水産基地としての側面も持ち、アジ、サバ、タイ、ブリなど、多くの魚介類が水揚げされ、地元の食文化を支えています。

近年では、大型客船が寄港できる港が少ない佐賀県において、クルーズ船の寄港地や旅客フェリーの就航地として、佐賀県の海の玄関口としての役割も担っています。観光客の受け入れ態勢も整備され、地域の活性化にも貢献しています。

2007年には、九州で初めて『みなとオアシス』に登録されました。唐津みなと交流センターを代表施設とする『みなとオアシスからつ』として、地域住民や観光客にとって賑わい拠点となっています。港周辺には、西の浜海水浴場や佐賀県ヨットハーバー（オリンピック強化指定基地）など、レジャー施設も整備されており、自然と触れ合うことも可能です。

港湾施設は東港、西の浜地区、二タ子地区、東の浜地区、西港、妙見地区、大島地区、水産埠頭、佐志地区などに分かれています。東港地区には、長崎県壱岐市の印通寺港へのフェリー航路があり、九電桟橋などの施設もあります。西港地区には唐津港で最大規模の岸壁を備えた公共埠頭や、水産加工業などが立地する妙見工業団地があります。大島地区はかつて石炭積み出しの中心地でしたが、現在は石油やLNGを取り扱うエネルギー供給基地としての役割が大きくなっています。水産埠頭は、唐津水産加工団地を擁し、多くの水産物が水揚げされる唐津市民の台所となっています。

国際貿易に関しても、かつては韓国・釜山への定期航路がありましたが、現在は休止しています。2012年には麗水万博期間中に臨時航路が運航され、2019年には壱岐～唐津フェリー「エメラルドからつ」の就航など、時代の変化とともに港湾機能も進化を遂げています。

唐津港は、歴史と現代が共存する、活気あふれる港湾です。物流拠点、水産基地、観光拠点としての役割を担いながら、今後も佐賀県の発展に大きく貢献していくことでしょう。

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