サバ

サバ（鯖）の概要

サバとは、スズキ目・サバ科に属する魚全般を指し、英語ではMackerelと呼ばれています。世界各地で食用として親しまれており、日本では特に多様な料理に利用されています。日本近海にはマサバ、ゴマサバ、グルクマ、ニジョウサバの4種が生息しています。

日本産サバの種類

サバ属 Scomber

• - マサバ（S. japonicus）: 腹は無地の銀白色で、背中には斑点があります。
• - ゴマサバ（S. australasicus）: 腹側に多数の黒い斑点が存在し、背中には斑点の列が見られます。
• - 大西洋サバ（S. scombrus）: 日本近海には生息せず、ノルウェーから冷凍品が輸入されてきます。

グルクマ属 Rastrelliger

• - グルクマ（R. kanagurta）: 主に南西諸島で漁獲されています。

ニジョウサバ属 Grammatorcynus

• - ニジョウサバ（G. bilineatus）: 背側と腹側に分岐する側線が特徴で、南西諸島で稀に捕獲されます。

漁獲と旬の時期

日本の太平洋沿岸では、秋がサバの旬とされています。「秋サバ」は、特に栄養を蓄えて美味しくなる時期です。サバは春に伊豆半島沖で産卵し、北上しながら成長。特に北海道沖では豊富なプランクトンを食べて太りますが、脂肪は均等に分散していないため、脂質が一部には偏って蓄積されます。

南下するサバは、9月から10月にかけて脂肪が身にしっかりと絡まり、これが風味を増します。特に八戸沖で捕れた戻りサバは絶品とされています。サバの脂含有率は、漁場によって異なり、北海道沖が最も高く、次いで八戸沖、三陸沖などと続きます。逆に九州沿岸では冬季が旬で、この地域のサバは「寒サバ」と呼ばれます。

大西洋サバも秋に漁獲され、ノルウェーなどからの輸入が一般的ですが、日本市場で人気があります。これらのサバは、脂のノリや風味が重要で、特にオーレスンド沖の戻りサバが高く評価されています。

日本の漁獲量と輸出

日本の2016年度のサバ漁獲量は約49万トンで、世界第2位を占めています。輸出量は約25万トンで、主にアフリカやアジアに流れます。日本で捕れた小型のサバは、缶詰や養殖魚のエサとして利用されることが多くなりました。しかし、国内の漁獲量が減少しているため、資源管理が重要視されるようになっています。

特に、未成熟なサバが多数捕獲されるため、漁獲圧の低下が懸念されています。このため漁獲可能量が設定されるも、過去の水準に戻ることは容易ではありません。日本市場はノルウェー産のサバが主に供給され、ノルウェー産の方が高い評価を得ています。

調理法と食文化

サバは焼き魚や煮魚、寿司、さらには缶詰や鰹節にまで加工され、日本の食文化に深く根付いています。「関さば」や「松輪サバ」など、地域ブランドも存在し、特に人気があります。また、DHAやEPAといった健康に良い成分が多く含まれているため、栄養面でも注目されています。生食の場合は、寄生虫の問題があるため鮮度が重要視されます。

伝承と文化的背景

サバは古来から日本人に愛されてきた魚であり、平安時代から市場で取引されていました。現在では「鯖の日」などのイベントも設けられ、地元の料理を披露する機会が増えています。また、サバを題材にした伝説や民間信仰も多く存在し、食と信仰が密接に結びついています。

このように、サバは日本の食文化の中で重要な役割を果たしており、その知名度や愛される理由には多くの背景があります。特に地域によって異なる調理法や食べ方は、サバがもたらす食の楽しさをより引き立てています。

もう一度検索