商品ライフサイクルマネジメント

商品ライフサイクルマネジメント（PLM）とは

商品ライフサイクルマネジメント（PLM）とは、製品や商品のライフサイクル全体を考慮したマーケティング手法です。製品の企画、設計、製造、販売、使用、再生といった一連の流れを管理し、製品の価値を最大化することを目指します。PLMは、製品戦略部などの専門部署が中心となって推進します。

製品のライフサイクルには、以下の二つの側面があります。

1. ミクロの製品ライフサイクル：製品の企画から廃棄までの具体的な流れ。
2. マクロの製品ライフサイクル：製品が市場に投入されてから販売終了に至るまでの期間。

ミクロの製品ライフサイクル

ミクロの製品ライフサイクルは、製品の生涯における各段階を指します。具体的には、「企画→開発→調達/生産準備→製造/生産→販売→保守→終売」という流れがあります。PLMでは、このライフサイクル全体を一つの管理対象と捉え、一元的に管理します。

PLMの主な目的は、以下の通りです。

コスト削減
市場投入期間の短縮
品質向上
環境負荷の軽減

PLMの特徴は、ライフサイクル全体を最適化することです。従来の部門ごとの管理では、各段階での役割が固定され、全体最適が難しくなることがあります。例えば、収益に着目した場合、従来のやり方では販売部門が販売価格のみで粗利を決定していました。しかしPLMでは、製品の販売時だけでなく、使用時のサポートや関連サービスなど、ライフサイクル全体で利益を上げる仕組みを構築できます。また、製品の説明書を分かりやすくするなど、使用時のサポート費用を抑える工夫も可能です。

環境面でもPLMは有効です。製品の環境負荷は、製造時や廃棄時にも発生します。PLMでは、製品のライフサイクル全体を通して環境負荷を評価し、例えば、設計段階でリサイクルしやすい素材を選んだり、梱包材を軽量化したりすることで、環境負荷を低減します。

PLMは、商品ライフサイクルを管理対象とするマネジメントシステムと捉えることができます。このシステムを活用することで、標準化など、マネジメントシステム一般に用いられる様々な取り組みを適用することが可能です。

マクロの製品ライフサイクル

マクロの製品ライフサイクルは、マーケティング理論における製品の市場での動きを表します。製品は一般的に、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階を経ると考えられています。

導入期：製品が市場に投入されたばかりで、認知度が低く、需要量が少ない時期です。この段階では、新しいものに敏感な顧客を対象とした戦略が採られます。
成長期：製品が認知され、需要量が急速に増加する時期です。多くの企業が市場に参入し、競争が激化します。
成熟期：需要量の増加が鈍化し、市場競争がピークを迎える時期です。
衰退期：技術革新や市場の変化により、製品の需要が減少し、市場から撤退する企業が増える時期です。

製品の価格も、各段階で高、中、低と変化し、マーケティング戦略もそれに応じて変わります。全ての製品がこの4つの段階を必ず経るわけではなく、各段階の期間も製品によって異なります。例えば、カメラ業界はデジタル技術の登場により成熟期から再び成長期に入りました。

各段階における施策

各段階では、適切な施策を打つことが重要です。例えば、衰退期に入った製品は、販売終了の手続きを行う必要があります。これには、代替製品の発売、段階的な販売終了計画、または技術的な陳腐化による即時販売停止などが含まれます。販売終了の手続きを行う際には、在庫、製造リソース、契約、サービス、マーケティング資産など、多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

各段階における主な購入者

各段階における主な購入者は、革新者理論を用いて説明されることがあります。

導入期：革新者（約2.5%）と初期採用者の一部（約13.5%）。
成長期：初期採用者の残りと、前期追随者（約34%）。
成熟期：後期追随者（約34%）と遅滞者の一部（約16%）。
衰退期：遅滞者の残りの部分。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

ボストン・コンサルティング・グループは、製品の市場成長率とマーケットシェアに着目し、製品を「問題児」「花形製品」「金のなる木」「負け犬」の4つのカテゴリーに分類しました。この分類を用いて、製品ポートフォリオを最適化する戦略を立てることができます。

結論

PLMは、製品のライフサイクル全体を視野に入れ、最適化を図るための重要な戦略です。製品の企画から廃棄までの全段階を管理することで、コスト削減、品質向上、環境負荷の低減を実現し、企業の競争力を高めることができます。

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