問状

問状の概説

問状（もんじょう）は、中世の日本において訴訟の際に作成された重要な文書です。この文書は原告の申し立てが認められた場合に、訴訟を担当する機関が被告に対して原告の訴えに対する反論を求めるために発行されました。

問状の形式

問状は、幕府やその下の探題による扱いの場合には「御教書」という形式で、また院や朝廷が関与する場合には「綸旨」として出されることがありました。実務を手掛ける引付頭人や奉行人は、奉書形式を用いる場合もあり、各機関の規定に基づいて発行されることが特徴でした。

文章の内容は一般的に、「○○（原告）より、××の件で訴えがあったので、その訴状を送付します。これについて弁明を行ってください」といった形で構成されており、文末には反論の提出を促す文言が添えられました。

裁判の進行と問状の役割

鎌倉幕府の時代においては、被告が陳状を提出しなかった場合、出頭命令（召状）が発せられ、それでも従わない際には原告が勝訴となる仕組みが取られていました。一方、室町幕府では、召状が発行されることなく、即座に原告の勝訴と判断されることが一般的でした。

このように、問状は訴訟の進行を促すために欠かせないものでしたが、同時に原告が被告に直接届ける必要があり、当事者主義の原則に則っていました。そのため、古い問状には「訴えが事実であれば非法行為を停止し、細かい事情があれば弁明せよ」といった文言が含まれており、これが誤解を招くこともありました。

問状に関わるトラブル

被告が問状を受け取った際に、トラブルを引き起こすケースも多かったのです。場合によっては、問状が理由とされて被告に対して実力行使が行われることもありました。これを「問状狼藉」と呼び、実際に暴力行為を伴うこともあったため、後の問状発行では誤解を防ぐための修正が加えられました。さらに、御成敗式目の第51条ではこうした問状に基づく暴力行為を禁じる規定も設けられています。

参考文献

歴史的な調査や理解を深めるために、以下の文献が参考とされます。

• - 植田信広「問状」『国史大辞典 13』（吉川弘文館 1992年）
• - 保立道久「問状」『日本史大事典 6』（平凡社 1994年）
• - 古澤直人「問状」『日本歴史大事典 3』（小学館 2001年）

結論

問状は、中世日本の訴訟制度において重要な役割を果たした文書であり、その使い方や影響を理解することは、当時の法律や社会制度を深く知る手助けとなります。

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