善徳女王

善徳女王について

善徳女王（そんどくじょおう、? - 647年2月20日）は、新羅の第27代王であり、632年から647年の間に在位しました。歴史上、新羅初の女性君主として名を刻む彼女は、政治的混乱の中で国を治め、外敵に対して积极的な外交を展開したことで知られています。

彼女の本名は金徳曼で、先代の真平王の娘として生まれ、王の血を引く女性でした。当時、国に男王が不在であったため、女王として王位につくことが期待されました。徳曼はその神秘的な性質により、即位後には「聖祖皇姑」として称えられました。彼女は、三人の姐妹を持つ一方、男兄弟はおらず、女性としての位置を強いられた時代に生まれました。

生涯と政治の推移

彼女の治世には、国内外で様々な課題がありました。特に新羅は国際的な孤立状態にあり、これを打破すべく唐との関係を強化し、朝貢を繰り返しました。633年には百済の侵略があったものの、635年には父である真平王から与えられた爵号を受け継ぎ、国の権威を強めることに成功しました。

636年には百済に対する軍事行動を成功させ、将軍閼川を配して、国の防衛を強化しました。しかし、642年には百済によって多くの城を失い、同年に高句麗との連合が結ばれたため、新羅の国境が脅かされました。このように、内外の課題を抱え続けた善徳女王は、唐に援軍を要請しましたが、逆に彼女の廃位を要求される事態となります。

国内では親唐派と反唐派の対立が深まる中、647年、女王自身が任命した上大等が内乱を起こしました。混乱の中で、地方勢力の支持を受けた女王は抵抗を試みましたが、同月8日に陣中で亡くなり、その後、善徳と諡されました。

文化的な貢献

彼女は仏教の保護にも尽力しました。特に慈蔵法師を唐に遣わし、帰国後には皇龍寺の九層塔を建立するなど、文化発展に寄与しました。さらに、新羅の若者を唐へ留学させ、唐の文化が新羅に流入するきっかけを作ったとも言われています。善徳女王の時代に、芬皇寺や霊廟寺が建立され、天文学に関する注目も集まり、彼女の治世は新羅の文化的繁栄の基盤を築く要素となりました。

年号と予知

治世開始から3年後、彼女は年号を仁平に改め、政治の安定を図りました。また、彼女は驚異的な洞察力を持っていたとされ、特に三つの予知が語り継がれています。これらの予知は、彼女がシャーマン的な性質を持っていたことを示しています。例えば、唐の太宗から贈られた牡丹の花を見て、その香りがないことを言い当てたり、賊の侵入を予測して手を打たせたりしました。また、自己の死を予測した事例もあり、彼女の伝説は新羅の歴史の中でも特異な存在として留まっています。

家族関係

家族の中には、彼女の父真平王や母摩耶夫人、姉の天明公主などがいます。また、彼女の甥には後の武烈王が含まれています。彼女は夫の飲葛文王との間に子供はなかったものの、女子としての多くの苦労と肩書を背負いながら国を治めた女性像が描かれています。

善徳女王の死後、彼女への評価は高まり、正当な王としての地位が認められました。彼女は新羅の歴史の中で重要な地位を占める人物で、多様な試練を乗り越えたことで今なお語り継がれる存在です。

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