真平王

真平王（しんぺいおう）：新羅を支えた王

真平王（生年不詳 - 632年）は、新羅の第26代の王（在位:579年 - 632年）であり、激動の時代に新羅を導きました。彼の治世は、領土の拡大に伴い、国内統治の精度を高めるための官制整備に力が注がれました。また、外交手腕を発揮し、隋との関係を深めるとともに、高句麗や百済との間で繰り広げられる戦乱の時代でもありました。

治世：内政と外交

真平王は、真興王以来の領土拡大に対応するため、中央官制の整備に尽力しました。位和府（後の吏部）、船府署、調府、乗府、礼部、領客府といった後世にまで続く重要な官府を創設し、国内統治の基礎を固めました。また、宮廷内の庶務を司る三宮を設け、内省私臣を配置することで、宮廷の運営を効率化しました。

仏教の振興にも力を入れ、智明・円光・曇育らの僧を陳や隋に派遣して仏法を学ばせました。また、度々の朝貢を通じて隋との関係を深め、594年には隋から＜上開府・楽浪郡公・新羅王＞に冊封されました。

半島での戦い

半島内では、高句麗、百済との間で激しい戦いが繰り広げられました。602年には百済を破り、603年には高句麗を撃退するなどの勝利を収めましたが、一方で牛鳴山城を陥落させられるなどの苦戦も強いられました。円光に高句麗討伐を求める上表文を書かせ隋に提出したことが、その後の隋による高句麗遠征の一因になったとも言われています。

隋の高句麗遠征後も、百済との間で激しい戦いが続き、多くの城を失いました。唐に働きかけ、劣勢を挽回しようと努め、624年には唐から＜柱国・楽浪郡公・新羅王＞に冊封されましたが、唐からの積極的な支援は得られませんでした。626年には高句麗と百済が和解し、新羅はますます苦境に立たされました。しかし、629年には金庾信の活躍により高句麗との戦いで勝利を収め、三国間の勢力均衡を保ちました。

晩年と家族

国内では631年に反乱が起こるなど、不安定な状況が続きましたが、真平王は632年1月に死去しました。諡は真平王、漢祇に埋葬されました。唐の太宗からは＜左光禄大夫＞を追贈され、香典が贈られました。

真平王は多くの家族に恵まれました。摩耶夫人との間に徳曼公主（後の善徳女王）、天明公主らをもうけ、また、善花公主は百済の武王の妃となりました。その他にも、僧満夫人や美室など、多くの后妃との間に子供をもうけました。特に、娘である徳曼公主が新羅初の女王として即位したことは、真平王の治世における大きな出来事の一つです。

真平王の時代は、新羅が大きく発展し、その後の統一新羅時代への礎を築いた重要な時期でした。彼の功績は、今もなお語り継がれています。

真平王が登場する作品

真平王は、その波乱万丈な生涯から、数々の映像作品にも登場しています。

善徳女王 - 演：チョ・ミンギ
薯童謠 - 演：チェ・ドンジュン
* 大王の夢 - 演：キム・ハギュン

これらの作品を通じて、真平王の生涯や業績に触れてみるのも良いでしょう。

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