善應寺 (仙台市)

善應寺の歴史と概要

善應寺（ぜんのうじ）は、宮城県仙台市宮城野区に所在する臨済宗妙心寺派の寺院です。この寺の起源は、仙台藩主第4代伊達綱村が、元禄10年（1697年）に自身の別荘地であった燕沢の丘陵地を、妙心寺派瑞巌寺の通玄法達禅師に寄進したことに遡ります。

当初、この地には岩手県江刺郡黒石村にあった天台宗の古刹、遮那王山長谷寺の廃寺を移し、甘棠山聖徳寺として建立されました。その後、綱村の父である第3代綱宗を祀る御位牌所となり、綱村が江戸で使用していた品川屋敷を移築して本堂とした際に、その豪華さから「ギヤマン寺」と呼ばれるようになりました。この本堂には、当時貴重であった板ガラス（ギヤマン）が障子戸に使用されていました。さらに、綱村の法諡である「見性院殿雄山威公大居士」にちなみ、経ヶ峯の伊達家善應殿に遺骨が祀られたことから、山号・寺号が加号され、甘棠大雄山聖徳善應寺と改称、現在では大雄山善應寺として知られています。

本尊と文化財

善應寺の本尊は、慈覚大師（円仁）作と伝えられる十一面観世音菩薩立像で、仙台市の登録文化財に指定されています。この像は、元々は仏殿に安置されていましたが、1958年の本堂再建時に現在の場所に移されました。また、同じく登録文化財である毘沙門天も祀られており、これら二つの像は平安後期の貴重な意匠を今に伝えています。

善應寺は、臨済宗妙心寺派直末中本山の別格寺院であり、明治維新までは代々瑞巌寺から法を継承していました。以来、この法流は「通玄派」と呼ばれ、その法源地となっています。

善應寺開山堂

1968年（昭和43年）には、善應寺開山堂が仙台市指定有形文化財（建造物）に指定されました。この開山堂は、善應寺初代通玄禅師の墓所として1704年に建立されました。宝形造桟瓦葺の建物で、内部には通玄禅師の木像が安置されています。また、伊達綱村筆の「鶏足」の扁額が掲げられ、黄檗派の文化的な影響も感じられます。

善應寺横穴墓群

同じく1968年、善應寺横穴墓群が仙台市指定史跡に指定されました。この横穴墓群は、飛鳥時代から奈良時代にかけて築造された地方豪族の墓で、かつては100基以上あったとされていますが、現在は25基程度が残っています。中でも最大規模のものは、羨道の入口から16メートルにも及び、玄室を区切る玄門の閉鎖設備が発見されるなど、東北地方では稀に見る優れた遺構として知られています。これは、仙台地方の開拓史を語る上で重要な遺跡です。

その他の文化財

• - 十一面観世音菩薩立像: 1997年（平成9年）に仙台市登録有形文化財（彫刻）に登録。
• - 毘沙門天立像: 同じく1997年に仙台市登録有形文化財（彫刻）に登録。

蒙古の碑（燕沢碑）

善應寺には、蒙古襲来に関連する碑も存在しています。

まとめ

善應寺は、歴史的、文化的に非常に価値のある寺院であり、その境内には多くの文化財が点在しています。これらの文化財は、古代から現代に至るまでの歴史を物語る貴重な遺産であり、訪れる人々に深い感銘を与えています。

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