開山堂

開山堂とは

開山堂（かいさんどう、かいざんどう）とは、仏教寺院において、その寺院の開山、つまり最初に住した僧の像を祀るお堂のことです。開山は、寺院の創立を発願し、経済的基盤を提供した「開基」とは区別されます。開山や宗祖の像を安置する堂は、寺院によっては祖師堂（そしどう）、御影堂（みえいどう、ごえいどう）、影堂（えいどう）などとも呼ばれます。宗派や寺院によっては、祖師堂や御影堂が本尊を安置する本堂よりも、規模が大きく、重要な場所として扱われることがあります。

開山堂の具体例

以下に、日本各地にある開山堂の具体的な例を挙げます。

善應寺（仙台市）の開山堂: 仙台市指定有形文化財に指定されています。元々は茅葺きで正面入口に廂がありましたが、現在は宝形造瓦葺きの建物となっています。伊達綱村の書による「鶏足」の扁額が掲げられています。
永保寺（岐阜県多治見市）の開山堂: 国宝に指定されている、南北朝時代の建築です。入母屋造檜皮葺きの美しい姿が特徴です。
東福寺（京都市）の開山堂: 別名「常楽庵」とも呼ばれ、重要文化財に指定されています。正面柱間が八間あり、禅式瓦敷が特徴的です。開山国師像が安置されています。
東大寺（奈良市）の開山堂: 国宝に指定され、初代別当である良弁を祀っています。内部には国宝「良弁僧正坐像」が安置されています。
上醍醐（京都市）の開山堂: 重要文化財に指定されています。慶長11年（1606年）に再建されたものです。
西福寺（新潟県魚沼市）の開山堂: 新潟県指定重要文化財に指定されています。開山である芳室祖春大和尚、道元、歴代住職を祀っています。石川雲蝶作の「道元禅師猛虎調伏の図」が有名です。

御影堂とは

御影堂（みえいどう、ごえいどう）も、開山堂と同様に、宗祖や高僧の像を祀るお堂です。特に、宗派の祖師や、その寺院にとって重要な人物を祀ることが多いです。以下に、御影堂の例を挙げます。

東寺（京都市）の御影堂: 大師堂とも呼ばれ、国宝に指定されています。
知恩院（京都市）の御影堂: 国宝に指定されています。
東本願寺（京都市）の御影堂: 重要文化財に指定され、建築面積においては世界最大の木造建築物です。
西本願寺（京都市）の御影堂: 重要文化財に指定されています。
唐招提寺（奈良市）の御影堂: 重要文化財に指定され、国宝「鑑真和上坐像」を安置しています。
金剛峯寺（高野山）（和歌山県伊都郡高野町）の御影堂: 高野山の壇上伽藍の中にあります。
善通寺（香川県善通寺市）の御影堂: 登録有形文化財に指定されています。大師堂とも呼ばれ、空海生誕の地とされています。

祖師堂とは

祖師堂（そしどう）も、開山堂や御影堂と同様に、宗派の祖師や、寺院にとって重要な人物を祀るお堂です。宗派によっては、祖師堂を特に重視することがあります。

以下に、祖師堂の例を挙げます。

妙成寺（石川県羽咋市）の祖師堂: 重要文化財に指定されています。1624年の建築です。
法華経寺（千葉県市川市）の祖師堂: 重要文化財に指定されています。1678年の建築です。
妙福寺（東京都町田市三輪町）の祖師堂: 東京都指定文化財に指定されています。室町時代の建築遺構です。
妙福寺（東京都大田区池上）の祖師堂: 登録文化財に指定されています。1833年の建築です。
妙本寺（神奈川県鎌倉市）の祖師堂: 鎌倉市指定有形文化財に指定されています。1838年頃の建築です。

まとめ

開山堂、御影堂、祖師堂は、いずれも仏教寺院において重要な役割を果たすお堂です。それぞれの寺院の歴史や宗派によって、祀られる人物や建物の形式は異なりますが、寺院を訪れる際には、これらの堂宇にも注目してみると、より深く仏教文化に触れることができるでしょう。

関連項目

* 大師堂

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