善行章

善行章について

善行章（ぜんこうしょう）とは、優れた行いや功績を表彰するために授与される記章のことです。軍隊や公共団体、民間団体など、様々な組織でその存在が確認されています。本記事では、善行章の歴史的背景や具体的な事例、海外の類似制度について詳しく解説します。

軍隊における善行章

大日本帝国海軍の善行章

大日本帝国海軍では、善行章は山型の臂章（ひしょう）として定められていました。入営から3年間、大きな問題なく任務を遂行した者に、善行章一線（1本の線）の着用が許可されました。その後は3年ごとに一線ずつ追加され、戦功を挙げた者には特別善行章も授与されました。善行章と特別善行章を合わせて、最高で5本まで軍服の右腕部分、階級章の上に縫い付けることができました。

善行章は、階級社会である軍隊において、畏怖される権威の象徴でした。受章本数によって俸給にも差があり、多くの善行章を授与された下士官兵は、部下から尊敬を集めたといいます。また、善行章の授与に際しては、受章を証明する善行証書が与えられました。

陸軍・自衛隊の精勤章

帝国陸軍や戦後の自衛隊（陸海空）では、善行章に類似するものとして精勤章が定められています。精勤章もまた、長年の勤務や功績を表彰する目的で授与されます。

消防団の精勤章・優良章

地域の消防機関である消防団でも、精勤章または優良章という名称で、年功や精勤に応じた臂章を付与する習慣があります。消防団員の士気向上に貢献しています。

表彰記章としての善行章

公共機関・公益法人

市町村などの公共機関や公益法人でも、市民の奉仕活動などを表彰するために善行章を定める例があります。これらの善行章は、地域社会への貢献を可視化し、善行を奨励する役割を果たしています。

日本善行会の表彰事業

特に代表的な例として、社団法人日本善行会の表彰事業が挙げられます。同会は、ボランティア活動などで功績のあった人物に対し、善行金章、善行銀章、善行銅章、善行章を授与し、毎年表彰を行っています。この活動は、善行の輪を広げる上で重要な役割を果たしています。

海外の善行章

英語圏における善行章

英語の "Good Conduct Medal"、"Good Conduct Badge"、"Good conduct stripe" など、善行を称える記章を日本語に訳す際に「善行章」の語が用いられることがあります。

英国海軍のGood Conduct Badge

英国海軍のGood Conduct Badgeは、階級章の下に付ける下向きの山形章で、Petty Officer以下の下士官兵が着用します。文献上では1849年に導入されたことが確認されています。

当初は、良好な勤務5年、10年、15年ごとに最高3本まで付与されていましたが、その後、付与年数は3年、8年、13年に変更されました。現在では4年ごとに最大3本までとなっています。また、1969年までは1本につき手当が支給されていました。英国連邦の各国（インド、オーストラリア、カナダなど）でも同様の制度が導入されています。

英国海軍Good Conduct Badgeの変遷

1849年1月 - 1860年: 5年、10年、15年経過ごとに付与。最高3本。1本につき1日1ペニーの手当が支給された。
1860年6月 - 1919年1月: 3年、8年、13年経過ごとに付与に変更。
1919年2月 - 1946年6月: 手当が3ペニーに増額。海兵隊には善行章3本に相当する手当が支給されるようになった。
1946年7月 -: 4年、8年、12年ごとに付与。手当も1本につき1日4ペニーに引き上げられた。
* 1970年4月 -: 善行章手当は廃止され、別の手当に移行した。

まとめ

善行章は、長年にわたり、様々な組織において、善い行いや功績を称えるために用いられてきました。軍隊における階級の象徴としての役割や、地域社会における貢献を表彰する手段としての役割など、多岐にわたる側面を持っています。それぞれの組織の理念や文化を反映し、善行を奨励し、社会をより良くする為に、今後もその役割を担っていくでしょう。

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