喜びの島

クロード・ドビュッシー『喜びの島』

『喜びの島』（L'Isle joyeuse）は、クロード・ドビュッシーが1904年に作曲したピアノ独奏曲です。イ長調、4分の4拍子で、リディア旋法に基づいています。

概要

この曲は、ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの絵画「シテール島の巡礼」からインスピレーションを受けています。シテール島はエーゲ海に浮かぶ島で、愛の女神ヴィーナスの島として知られています。ドビュッシーは、装飾音やリズムの変化などの技巧を駆使し、きらめくように色彩豊かな音を連ねることで、幻想的な愛の歓びを表現しました。

ベルナルディーノ・モリナーリによる管弦楽版も存在し、ドビュッシー自身の指示に基づいた編曲により、原曲の繊細な華やかさを損なうことなく、オーケストラの響きで表現されています。

初演

1905年2月18日、パリの国民音楽協会にて、リカルド・ビニェスによって初演されました。この演奏会では、同じくドビュッシーの『仮面』も初演されています。

出版

1904年にデュラン社から出版されました。

補足

『喜びの島』は、当初『月の光』で有名な『ベルガマスク組曲』の1曲として構想されていたようです。しかし、出版社の都合により、独立した楽曲として発表されることになりました。同様に、『仮面』も組曲への収録が見送られ、単独で出版されています。

自筆譜

自筆譜は、パリ国立図書館に所蔵されています（Ms.977）。

外部リンク

市川啓子 (2004年10月). “喜びの島 シテール島～神話･美術･文学そして音楽～” (PDF 904KB). 国立音楽大学附属図書館
久田雅子・吉野秀幸「C.ドビュッシー〈喜びの島〉伝説の真偽 J.A.ヴァトー〈シテール島への船出〉との関連性を問う」『大阪教育大学紀要 第I部門:人文科学』第55巻第2号、大阪教育大学、2007年2月28日、63-83頁
* 喜びの島の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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