喜多六平太 (14世)

十四世 喜多 六平太の生涯と業績

十四世 喜多 六平太（じゅうよんせ きた ろっぺいた）は、1874年7月7日に東京で生まれ、1971年1月11日にその生涯を閉じました。彼は喜多流のシテ方能楽師として知られ、喜多流の十四世宗家を継承した人物です。

若き日の彼

喜多六平太は、旧幕臣である宇都野鶴五郎の子として生まれ、三女・まつの間に次男として誕生しました。1879年、彼は喜多家に入門し、わずか10歳の時に14代目宗家を継承しました。しかし、当時の喜多流は衰退の一途をたどっており、六平太はこの状況を打開すべく努力を重ねました。彼は梅津只円や友枝三郎といった多くの師匠から学び、独自のスタイルを構築していきました。

芸の探求と伝統の保持

喜多六平太は新しい技法を受け入れたのではなく、むしろ伝統に根ざした芸風を守ることを重視しました。その結果、彼は昭和を代表する名人として広く認識されるようになり、1943年には能楽協会の設立委員を務めました。彼の功績が認められ、1947年には日本芸術院会員に選ばれました。

1953年には文化勲章を受章し、1955年には重要無形文化財保持者、いわゆる「人間国宝」に認定されました。彼は有名な著作『六平太芸談』を残し、彼の技術と哲学を次世代に伝えることにも尽力しました。

家族と晩年

私生活では、囲碁の女流棋士である喜多文子（旧姓林）と結婚しましたが、実子は残さず、養子として後藤家から喜多実が迎えられ、喜多流の十五世宗家としてその家業を引き継ぎました。彼の墓所は、代々浅草花川戸の九品寺にありましたが、関東大震災後の区画整理に伴い、世田谷区の浄真寺に改葬されました。

著作と編集

喜多六平太は、能楽のみならず、その理解を深めるための多くの編纂や校訂作業も行いました。彼の編集による重要な作品には、『喜多流謡曲』や『喜多流囃子仕舞附』などがあります。特に『喜多流謡本』は全37巻に及ぶ大作で、多くの能楽師に影響を与えています。また、彼の業績を記した『私の履歴書 第39集』も1970年に出版され、彼の人生の軌跡を知るための貴重な資料となっています。

結語

十四世喜多六平太は、日本の伝統芸能において重要な役割を果たした能楽師であり、その業績は今なお多くの人々に称賛されています。彼の人生は、困難な時代にあっても伝統を守り抜く姿勢と、新しい世代への技術伝承の重要性を教えてくれます。

もう一度検索