喜多実

喜多 実（きた みのる）

喜多実は、1900年に生まれ、1986年にこの世を去った日本の能楽師です。滋賀県出身の彼は、喜多流の十五世宗家であり、日本芸術院の会員としても知られています。

経歴

喜多実の幼少期、5歳の時に大阪の後藤家から喜多流の十四世宗家、喜多六平太の養子として迎え入れられました。彼の能楽への情熱は、この早期の養子生活から始まったと言われており、非常に早い段階から伝統芸能に触れる機会がありました。

1939年からは土岐善麿と共に新作能の創作に力を入れ、日本の能楽の発展に貢献しました。この活動は、国内外で高く評価され、イタリアやフランスなどでも公演を行い、国際的な舞台でもその名を知られるようになりました。

1957年には、重要無形文化財の能楽の保持者として認定され、1971年には喜多流の十五世宗家として家元の地位を引き継ぎました。この時期、喜多実の目指す新たな能楽のスタイルが徐々に確立されていきました。1974年には日本能楽協会の会長に就任し、その活動が各方面での支援と促進に繋がりました。

1975年には日本芸術院の受賞者となり、同時に日本芸術院の会員としての資格も得ました。1976年には勲三等瑞宝章を受章するなど、その功績は広く認められます。彼の活動は、日本の伝統文化における重要な役割を果たし続けました。彼が亡くなるまで、その影響は色濃く残っていました。

彼の家族は芸術一家として知られており、兄には俳人の後藤夜半や人間国宝である後藤得三がいます。また、子供たちも喜多流の十六世宗家である喜多六平太や女優の喜多道枝など、多彩な才能を持つ芸術家へと成長しました。喜多実の墓所は東京都世田谷区の浄真寺にあります。

出版物

喜多実は多くの著書をも残しています。主な著作には以下のものがあります：

• - 『演能手記』（謡曲界発行所、1939年）
• - 『演能前後』（光風社書店、1969年）
• - 『演能初心』（竹頭社、1984年）

また、音楽媒体でも彼の功績を残しており、1995年には「喜多流祝言小謡集」を日本コロムビアから発表しています。彼の演目は、DVDでも楽しむことができ、「能楽名演集 喜多流『通小町』」や「鶴（新作能）」の番組も視聴可能です。

影響と評価

喜多実の影響は、能楽界にとどまらず、広く日本の文化に根付いています。彼の新作能への取り組みや、国際的な公演を通じた文化交流は、今後の世代にとっても貴重な財産といえるでしょう。彼の業績は、喜多流だけでなく、能楽全般の発展にも寄与しています。

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