喜多野徳俊

喜多野徳俊の生涯

喜多野徳俊（きたの のりたか）は、1910年11月12日、京都市に生まれました。医師としてのキャリアと同時に、郷土史家としても多くの業績を残しました。彼は奈良地方の歴史を記録することに情熱を注ぎ、その功績は今に語り継がれています。

医学の道へ

1935年、名古屋医科大学を卒業後、名古屋大学医学部で助手として働き始めます。この頃、奈良市中筋町で病院を経営する喜多野義夫との養子縁組を果たすこととなり、家業を継ぐことを条件に婚約が進められました。外科医としての専門性を持つ徳俊は、耳鼻咽喉科だけでなく外科の診療も行う決意を固めました。

1936年には陸軍に入隊し、二・二六事件にも遭遇しますが、徳俊は命令に従い反乱には加わりませんでした。除隊後は1941年、名古屋帝国大学から医学博士の学位を取得。戦後は奈良市で喜多野診療所を運営し、地域医療に貢献しました。

郷土史家としての活動

医師としての活動と並行して、1967年頃から郷土史の研究を開始します。特に石仏や仏像の研究に力を入れ、1971年には日本で初めて医療用胃カメラを用いて仏像内の墨書銘の撮影に成功。これは多くのメディアにも取り上げられ、全国的な注目を集めました。

無名園古道との出会いは、文献に触れたことから始まりましたが、誤った情報に苦しむことしばしば。彼は自ら調査を行い、無名園古道の正体を明らかにすることに尽力しました。最終的には、その功績により村井古道の著作を現代語に翻訳し、その理解を広めることができました。

文化的な影響

1981年には、俳人の来訪をきっかけに古道の俳諧の研究を再開し、自らの著書『無名園古道』を発表。さらに春日大社の研究も行い、様々な著作を通じて地域文化の振興に努めました。多くの著書を残し、最後の著作は2005年に発表した『森鴎外と奈良』であり、彼の95年の生涯を振り返る資料となっています。

晩年と永遠の別れ

晩年には郷土史や医療に関するエッセイを出版し、奈良の文化と歴史に貢献し続けました。2005年7月30日、喜多野徳俊は94歳でこの世を去りましたが、彼の業績は今もなお、多くの人々によって語り継がれています。地区医療への貢献と、郷土の歴史を後世に残そうという姿勢は、多くの人々に感銘を与えました。

おわりに

喜多野徳俊の生涯は、医師としての活動だけでなく、郷土史家としての活動によっても磨かれました。彼が残した知識と情熱は、今後も奈良の歴史を学ぶ上での重要な資源となるでしょう。

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