喜連川五月女坂の戦い
喜連川五月女坂の戦いについて
喜連川五月女坂の戦い（きつれがわそうとめざかのたたかい）は、1549年9月17日に下野国（現在の栃木県）で発生した戦闘です。この合戦は、宇都宮氏と那須氏の間で繰り広げられました。別名は喜連川早乙女坂の戦いや早乙女坂の戦いとも呼ばれています。
背景
戦国時代の日本において、宇都宮氏の大名宇都宮俊綱は、当時の内政問題である天文の内訌を克服し、芳賀高定を家臣として送り込むことで、家中の安定を図りました。しかし、他の敵対勢力の動きが影を落としていたのです。結城氏家臣の水谷正村が宇都宮を攻撃し、俊綱は信頼する家臣である中村玄角や八木岡貞家に死をもたらし、宇都宮氏の力が衰えていく事態に直面しました。
さらに、壬生綱房の台頭が見られ、一族の武茂氏や松野氏、塩谷氏はそれぞれの敵対勢力、すなわち佐竹氏や那須氏に離反しており、宇都宮氏が統制を保つことは次第に困難になっていました。このような状況を受けて、俊綱はなんとか勢力の回復を試みていました。
一方で、那須高資は宇都宮への侵攻を画策していました。内訌の隙を突いて果敢に行動を起こす姿勢が見えました。芳賀高経の子である芳賀高照を誘い込み、宇都宮攻めの大義名分を得たことで、彼の野望は一層強固なものとなりました。
戦闘の経過
1549年9月17日、高資は300騎の軍勢を指揮し、宇都宮領へと侵攻を開始しました。これに対抗する形で、俊綱は古河公方の足利晴氏からの指示を受け、2500騎の兵を率いて喜連川へと出陣しました。最初の段階で、兵力に勝る宇都宮軍が戦局を優位に進めるかに思われました。
しかし、高資は五月女坂に伏兵を配し、巧妙な戦術で宇都宮軍を混乱に陥れます。宇都宮側の家臣たち、特に多功長朝や満川忠親、横田五兄弟などが奮闘し、必死に防戦しましたが、残念ながら彼らの多くが戦死し、戦況は悪化していきました。
戦の結末
9月17日、宇都宮城の前線に立った尚綱は、混乱を収めるために奮闘しましたが、伊王野資宗の家臣鮎ヶ瀬実光の矢を受け、悲運に見舞われます。彼の死によって、那須軍が勝利を収め、宇都宮軍は壊滅的な打撃を受けました。
戦後、尚綱が討ち取られたことにより、宇都宮氏の宿老の壬生綱房が台頭し、宇都宮城を占拠します。幼い伊勢寿丸（後の宇都宮広綱）は芳賀高定に助けられ、真岡城へと逃げ延びました。綱房は芳賀高照を傀儡として利用し、宇都宮氏の実権を握ることに成功しました。この後、塩谷義孝などの重臣が彼に従わざるを得なくなり、宇都宮氏は新たな危機を抱えることになります。
参戦武将
宇都宮軍
那須軍
この戦いは、宇都宮氏の衰退と那須氏の台頭を示す重要なポイントとなった出来事です。
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