営団02系電車

営団02系電車は、1988年に営業運転を開始した帝都高速度交通営団（営団、現:東京地下鉄）の通勤形電車です。丸ノ内線で長年活躍した300形・500形などの車両更新を目的として導入されました。2004年の営団民営化に伴い、東京メトロに継承されています。

概要

02系は、銀座線用の01系が好評だったことを受け、これをベースに設計・製造されました。外観や機器は01系に準拠しており、検査業務を担当する中野車両基地での取り扱いを考慮した設計となっています。丸ノ内線への統一後、1998年には保安装置が新CS-ATC化され、最高速度が65km/hから75km/hに引き上げられました。

外観

本系列のデザインは、丸ノ内線開業以来の300形のイメージを継承しつつ、「従来車の面影」と「エレガント」をテーマとしています。無塗装のアルミ車体に300形のイメージを残すため、側面ラインカラー帯はスカーレット（赤）と白色の2色を組み合わせ、サインウェーブを表現しました。車体はアルミニウム合金製で、片側3扉構造です。

銀座線よりもトンネル断面が大きいため、01系よりも一回り大きく、全長18m、幅2,780mmとなっています。車体には丸ノ内線のラインカラーであるスカーレットの帯が入っており、アクセントとしてホワイトの細い帯も入っています。側面は、赤坂見附駅での銀座線との乗り間違いを防ぐため、扉上部に赤帯が巻かれています。

01系が直線的な形状であるのに対し、02系では屋根肩部や前面形状に丸みを持たせ、「優しさ」を表現しています。フロントガラスは横方向に大きな曲線を描き、上部には飾り窓が設けられています。前面にはプラグドアによる非常口が設置されています。

車体側面には、営団時代より営団団章（Sマーク）が配されていましたが、東京メトロへの移行時に「ハートM」マークに交換されました。

次車分類と仕様

本系列は、製造時期によって仕様が異なり、次車分類がされています。初期に製造された車両は非冷房でしたが、後に冷房化改造が行われました。3次車からは新製時より冷房装置を搭載しています。

冷房装置

丸ノ内線ではかつて駅冷房に加えトンネル冷房を実施していたため、初期車は非冷房で落成しました。しかし、1990年より車両冷房が導入され、3次車からは新製時より薄型集約分散式冷房装置を搭載しています。非冷房車も後に冷房改造が行われました。

内装

車内内張りにはベージュ系の色が採用され、床材は01系よりも明るい色の茶色とクリーム色で2色フットライン入りのものとしました。座席モケットは全車両が赤系色で総柄プリント品のバケットシートです。客用ドアは在来車両より100mm広い1,400mmに拡大され、乗降をスムーズにしています。

2007年頃から、車内号車札などの表記類が10000系と同じ蓄光性シールに交換されました。

乗務員室

乗務員室の内装は緑色、運転台の筐体は紺色です。本線用車両では01系と同じ横軸式で、マスコンハンドルとブレーキ操作器が別個の2ハンドル式でした。

機器類

初期の車両は高周波分巻チョッパ制御を採用していましたが、後にVVVFインバータ制御に変更されました。台車は住友金属工業製のボルスタ付空気ばね台車を使用しています。ブレーキ装置は回生ブレーキ併用の全電気指令式です。

旅客への情報提供

1 - 4次車と方南町支線用は字幕式、5 - 7次車はLED式の行先表示器を先頭車前面に設置していました。全編成に自動放送装置を搭載しています。

80番台（方南町支線用）

1996年に登場した方南町支線用の80番台は、3両編成で本線用とは一部仕様が異なっています。車体帯は赤色に白と黒を配したものとし、前面上部の飾り窓は廃止されました。コストダウンのため、側窓の一部が固定化されています。

2022年8月27日のダイヤ改正で丸ノ内線の本線・支線の全列車を6両編成へ統一したことにより、前日の26日に引退しました。

ワンマン運転への対応

方南町支線用の80番台編成は落成時よりワンマン運転を想定しており、運転台にはワンハンドル式マスコンを採用していました。本線用の編成も後にワンマン運転に対応した改造が行われました。

改修工事

2009年度よりチョッパ制御車を対象とした大規模改修工事が実施されました。外観では、側面の帯がサインウェーブ入りのものに変更されました。車内では、バリアフリーやユニバーサルデザインの充実が図られました。

編成と運用

本線用の6両編成53本が所属していました。本系列の編成総数は、東京地下鉄における同一形式の最大編成数でした。

受賞・ラッピング車両など

1989年に鉄道友の会のグローリア賞を受賞しました。また、丸ノ内線開業50周年を記念して、ラッピングが施された編成も存在しました。

置き換え

本系列は、新型車両2000系の導入に伴い、2024年3月までに運用を終了しました。一部車両はフィリピンの大学に譲渡され、教材として活用されています。

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