嘉吉条約

嘉吉条約とは

嘉吉条約（かきつじょうやく）は、日本の室町時代の1443年に李氏朝鮮と対馬国の宗貞盛によって結ばれた貿易に関する重要な協定です。この条約は、通交船の数や交易量に対する制限を設け、当時の対馬と李氏朝鮮の関係を規定したものとして歴史的な意義があります。別名として干支に由来した癸亥約定（癸亥約条）とも呼ばれています。

歴史的背景

鎌倉時代において、日本の対馬は元寇と呼ばれる二度の蒙古襲来を受け、高麗に対する敵対心が強まりました。この時期の対馬は、特に海賊である海乱鬼に悩まされていました。1368年に明王朝が成立することを境に、海上におけるトラブルが悪化し、恭愍王は対馬に和交を求める使者を送りました。これは、度重なる海賊行為が経済や国防に悪影響を及ぼすことを懸念してのものでした。

しかし、明の洪武帝が1371年から海禁令を繰り返し発布し、海上活動は厳しく制限されることになります。日本の室町幕府も1401年には勘合符を用いた統制貿易を導入し、海賊等の脅威に対抗しました。

対馬の宗氏は、国防を考慮しながら高麗との関係を改善しつつあり、李氏朝鮮の成立に伴って（1392年）、その関係は継続されました。このような流れの中で1443年に結ばれた嘉吉条約は、両国間の和平を意図していたと考えられます。

嘉吉条約の内容

この条約の中で、李氏朝鮮は対馬の島主に対し毎年の貿易船の数を50隻までとし、必要に応じて数隻の追加入港を認めるとしました。また、米または大豆の取引量は200石と定められ、これにより勘合符を持たない船の入港を制限することが明記されました。

この結果、九州や四国の諸藩も対馬での貿易を求め、李氏朝鮮との海上通交は対馬宗氏が中心となって行うようになります。日本船の入港は、釜山浦、乃而浦、塩浦の三箇所に限られ、これらの場所には三浦倭館が設置され、貿易に関する事務が行われました。

後の影響と通交の変遷

しかし1530年には三浦の乱が発生し、対馬の李氏が一時関係を絶つ事態となります。これに対して室町幕府の将軍・足利義稙が通交を再開しようと使者を送りましたが、李氏朝鮮は1512年に壬申約条と呼ばれる一方的な条約を通告し、三浦の廃止や開港地の限制を行いました。

このように、嘉吉条約は日本と李氏朝鮮の貿易関係において重要な役割を果たしたものの、その後の歴史の変遷により、通交は景気の良い時期と雨続きの時期を迎えました。最終的には、通商関係は低迷し、これが後の外交関係の発展にも影響を及ぼすこととなります。

まとめ

嘉吉条約は、当時の国際情勢や地域の安全保障を反映した貿易協定であり、対馬の宗氏と李氏朝鮮の関係を規定した歴史的な契約として記憶されています。今後もこの条約の研究を通じて、中世の東アジアにおける国際関係や貿易のダイナミクスを理解することが期待されます。

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