嘉手納飛行場B-52爆撃機炎上事故

1968年11月19日、沖縄返還前の嘉手納飛行場で、B-52爆撃機が離陸中に炎上するという大事故が発生しました。当時、アメリカ空軍第4252戦略航空団に所属していたB-52D ストラトフォートレス爆撃機は、ベトナム戦争におけるアークライト作戦に参加するため、爆弾を満載して嘉手納飛行場から離陸しようとしていました。

しかし、何らかの理由で離陸を中断した当該機は、滑走路の延長線上で大爆発を起こし、炎上しました。この時、機体には両翼下に24発の500ポンド爆弾、爆弾倉に24発の750ポンド爆弾、合計30,000ポンド（約14,000kg）もの爆弾が搭載されており、これらの爆弾と燃料が火災によって誘爆したと考えられています。

爆発は、深さ9.1メートル、幅18メートルにも及ぶ巨大なクレーターを形成し、爆風は4キロメートル四方にまで達しました。これにより、139棟の家屋が破損し、37キロメートル離れた那覇空軍基地（現在の那覇空港）の薬局の窓までも破壊されるという甚大な被害が発生しました。事故現場からは、高さ100メートルを超える巨大なキノコ雲が立ち上り、目撃した住民たちは、戦争による攻撃や原爆、あるいは水爆が爆発したのではないかと錯覚し、避難を始めるなど大騒動となりました。

事故調査の結果、当該機は、降着装置やエンジン部品、尾翼など一部を除き、ほぼ完全に消失してしまったことが判明しました。爆発で飛び散った金属片は、まるで紙吹雪のように広範囲に散乱しており、その残骸の撤去作業は非常に困難を極めました。事故機の搭乗員は沖縄から後送されましたが、そのうち1名は火傷が原因で死亡しています。また、沖縄人の従業員2名も爆発によって負傷しました。

事故機が離陸を中断せずにそのまま飛行を続けていた場合、滑走路の北側にある知花弾薬庫地区に墜落した可能性がありました。知花弾薬庫地区には、通常の弾薬や高性能爆発物に加え、核兵器の弾頭や関連兵器も保管されていたとされています。この事故は、もし当該機が知花弾薬庫に墜落していたら、甚大な被害をもたらす大惨事になっていた可能性を示唆しています。

この事故は、沖縄に駐留する米軍施設に保管されている化学物質や核兵器が、周辺住民を危険に晒す可能性を改めて浮き彫りにしました。そして、この事故がきっかけとなり、沖縄からB-52爆撃機を撤退させる運動や、沖縄の施政権返還を求める運動が、より一層活発化することとなりました。

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