嘉納行光

嘉納行光（かのう ゆきみつ）は、1932年4月5日に誕生し、2020年3月8日に肺炎で逝去されました。彼は講道館柔道の創始者である嘉納治五郎の嫡孫であり、講道館の館長と全日本柔道連盟の会長という要職を歴任し、柔道界に大きく貢献しました。

嘉納行光は、1932年に嘉納履正（講道館第3代館長）と百合子の長男として東京で生まれました。父親は柔道経験がありませんでしたが、行光は幼少の頃から柔道を始め、初段を取得しました。しかし、第二次世界大戦後の占領期にGHQによって柔道が禁止されたため、柔道の修行を一時中断せざるを得ませんでした。

学歴としては、1945年に東京高等師範学校附属小学校（現在の筑波大学附属小学校）を卒業し、1951年には東京教育大学附属中学校・高等学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業しています。高校の同級生には、小説家の小林信彦、元日本銀行理事の鈴木淑夫、元富士常葉大学学長の徳山明、元NHKアナウンサーの中江陽三、元財務大臣の藤井裕久、元ニコン会長の吉田庄一郎など、各界で活躍した著名人が名を連ねています。その後、学習院大学政経学部経済学科を卒業しました。

1980年、嘉納行光は父親の後を継いで講道館の第4代館長に就任しました。2008年3月には、任期7年の講道館館長職に再選されましたが、2009年2月19日、高齢と家族の介護問題などを理由に、同年3月末で全日本柔道連盟会長と講道館館長を退任する意向を表明しました。2009年4月1日付けで館長を退任し、名誉館長となりました。嘉納行光には2人の娘がおり、長女の嘉納明石氏が2020年7月に講道館の理事に就任しています。

嘉納行光は、柔道の普及と発展に尽力する一方で、『柔道大事典』（アテネ書房、1999年）の監修も担当しました。この事典は、川村禎三、中村良三、醍醐敏郎、竹内善徳、佐藤宣践といった柔道界の重鎮たちとの共著であり、柔道に関する貴重な知識や情報が網羅されています。

嘉納行光の死去は、柔道界にとって大きな損失であり、多くの人々がその功績を偲びました。彼の柔道に対する情熱と貢献は、今後も語り継がれることでしょう。

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