四十二番街

『四十二番街』について

『四十二番街』（よんじゅうにばんがい、英題：42nd Street）は、1933年に公開されたアメリカのミュージカル映画で、ワーナー・ブラザースによって製作されました。この作品は、通常のミュージカル映画とは異なり、舞台の上演までの舞台裏を描いたドラマとして知られています。その斬新さから、ミュージカル映画に新しい風を吹き込み、多くの注目を集めました。スティーヴン・ジェイ・シュナイダーの『死ぬまでに観たい映画1001本』にも名を刻む名作です。

概要

物語は、華やかなレビュー舞台の裏側を探ります。映画の中では、スターとして成長するキャラクター・ペギーを中心に据え、ルビー・キラーやディック・パウエル、ジンジャー・ロジャースといった著名な俳優たちが登場します。

特に注目すべきは、振付師バスビー・バークレーの手による壮大なレビューシーンです。彼の独創的な「バークレー・ショット」は、真上から見下ろした大人数のダンサーたちの動きを映し出すもの。これにより、視覚的に引き込む革新的な映像体験が創出され、以降のシネ・ミュージカルに大きな影響を与えました。

本作は、1933年当時、息を吹き返したミュージカル映画の代表例とも言えます。同年には、ほぼ同じ製作スタッフによる作品がいくつか公開され、その中で『ゴールド・ディガーズ』や『フットライト・パレード』が特に人気を博しました。これに触発されて、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーやパラマウントも新たなミュージカル作品を発表し、舞台裏ミュージカルが盛り上がりを見せました。

ストーリー

物語は、かつての名演出家ジュリアン・マーシュ（ワーナー・バクスター）が新作『プリティ・レディ』の大成功をもくろむ様子から始まります。株の大暴落による心身の消耗から立ち直り、最後のチャンスと信じて、ジュリアンはオーディションに全てを賭けます。

オーディションでは、次々と選ばれるダンサーたちのドラマが展開し、ジュリアンの厳しい指導が続きます。ところが、プレミアを控えた直前、主演予定の女優ドロシー・ブロックが足を怪我してしまいます。その代わりに、コーラスガールのペギー・ソイヤー（ルビー・キーラー）が急遽起用され、彼女は一対一の特訓を経て、見事に成功を収め、スターの仲間入りを果たします。ただし、ジュリアンの努力が観客に伝わることはありませんでした。

キャスト

- ジュリアン・マーシュ：ワーナー・バクスター（小林修）
- ドロシー・ブロック：ビーブ・ダニエルズ（公卿圭子）
- ペギー・ソーヤー：ルビー・キーラー（武藤礼子）
- アブナー・ディロン：ガイ・キビー（松村彦次郎）
- ローレイン・フレミング：ウーナ・マーケル（翠準子）
- アン・ローウェル：ジンジャー・ロジャース（伊藤日出子）
- ビリー・ローラー：ディック・パウエル（仲野宏）

スタッフ

- 監督：ロイド・ベーコン
- 製作：ダリル・F・ザナック
- 脚本：ライアン・ジェームズ、ジェイムズ・シーモア
- 振付：バスビー・バークリー
- 作詞：アル・デュービン
- 作曲：ハリー・ウォーレン

公開と評価

本作は1933年に公開された作品の中で最も成功したとされ、230万ドルの収益を上げました。第6回アカデミー賞では作品賞と音響賞にノミネートされ、またAFIの選んだ「ミュージカル映画ベスト」でも堂々の13位に選ばれています。

舞台化

1980年にブロードウェイミュージカルとして再演され、トニー賞の作品賞と振付賞を受賞。約8年間のロングランを記録しました。さらに、2001年にもリバイバル公演が行われ、日本でも1997年から数回にわたって涼風真世主演で上演されています。2019年には「松竹ブロードウェイシネマ」の一作として、日本で劇場公開されました。

このように『四十二番街』は、映画と舞台の両方において多大な影響を与え、今なお多くの人々に愛され続けています。

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