四季 (ハイドン)

ハイドン オラトリオ『四季』（Die Jahreszeiten）について

フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲したオラトリオ『四季』（Hob.XXI-3）は、『天地創造』と並び、彼の代表作として知られています。

概要

『四季』は、ゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵がジェームス・トムソンの叙事詩『四季』を基にドイツ語の台本を作成し、ハイドンが作曲しました。作曲は1798年頃に開始され、『天地創造』の成功を受けて着手されましたが、完成には1800年の1年を費やしています。1800年5月のハイドンの手紙には、第2部「夏」の作曲に苦労している様子が窺えます。全曲は1801年初頭に完成しました。

初演は1801年4月24日にウィーンのシュヴァルツェンベルク侯爵邸で行われ、ハイドン自身の指揮で、180人以上のオーケストラと合唱団が出演しました。その後、5月29日には一般向けの公開初演も行われましたが、聴衆の評価は分かれ、『天地創造』と比較する意見や、台本に対する批判も見られました。

ハイドンと親交のあったG.A.グリージンガーは、伝記の中で『四季』の作曲がハイドンの健康を害したと記しており、完成後には頭痛に悩まされていたようです。

台本をめぐる確執

スヴィーテン男爵の台本は、必ずしもハイドンの意に沿うものではなく、いくつかの確執が生じました。例えば、第4曲のアリアではハイドンが交響曲第94番『驚愕』の第2楽章のメロディーを使用したことに対して、男爵はメロディーを当時流行のオペラのアリアに置き換えようとしましたが、ハイドンはこれを拒否しました。この他にも、詩的でない台本や、男爵が擬音的な描写を強要しようとしたことなど、度々意見が対立しましたが、最終的には協力し合い完成に至りました。

登場人物

シモン（農夫、バス）
ハンネ（シモンの娘、ソプラノ）
ルーカス（ハンネの恋人、テノール）

楽器編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン3、トランペット3、トロンボーン3、ティンパニ1対、弦五部

演奏時間

約2時間10分（各30分、35分、35分、30分）

構成

全39曲からなり、以下の4つの部分に分かれています。

第1部 春

1. 序奏とレチタティーヴォ「見よ、厳しい冬も」
2. 合唱「来い、のどかな春よ」
3. レチタティーヴォ「天の牡羊座から、今」
4. アリア「農夫は今、喜び勇んで」
5. レチタティーヴォ「農夫は今、骨惜しみをせず」
6. 三重唱と合唱「慈悲深い天よ、恵みを与えてください」（祈りの歌）
7. レチタティーヴォ「私たちの願いは聞き届けられました」
8. 三重唱と合唱「おお、今や何と素晴らしい」（喜びの歌）

第2部 夏

9. 序奏とレチタティーヴォ「灰色のヴェールに包まれて」
10. アリア「眠りを覚ました羊飼いは今」
11. レチタティーヴォ「朝焼けが訪れて」
12. レチタティーヴォ「今、まわりの全てのものが活動を始め」
13. カヴァティーナ「自然は、重圧に喘いでいる」
14. レチタティーヴォ「さあ、暗い森に来ました」
15. アリア「何という爽やかな感じでしょう」
16. レチタティーヴォ「おお見よ、蒸し暑い空気の中で」
17. 合唱「ああ、嵐が近づいた」
18. 三重唱と合唱「黒い雲は切れ」

第3部 秋

19. 序奏とレチタティーヴォ「はじめ、春が」
20. 合唱付き三重唱「こんなに自然は、勤労に報いてくれた」
21. レチタティーヴォ「ごらんなさい、あそこのはしばみの茂みの方へ」
22. 二重唱「町から来た美しい人、こちらへおいで!」
23. レチタティーヴォ「今、裸に剥かれた畑に」
24. アリア「広い草原を見渡してごらん!」
25. レチタティーヴォ「ここで、野兎を塒（ねぐら）から」
26. 合唱「聞け、この大きなざわめき」
27. レチタティーヴォ「ぶどうの樹には、今」
28. 合唱「万歳、万歳、ぶどう酒だ」

第4部 冬

29. 序奏とレチタティーヴォ「今、色褪せた年が沈み」
30. カヴァティーナ「光と命は衰え」
31. レチタティーヴォ「広い湖も凍りつき」
32. アリア「旅人が今ここで」
33. レチタティーヴォ「そこで旅人が近づいてみると」
34. 合唱付きリート「くるくる回れ」（糸車の歌）
35. レチタティーヴォ「亜麻布を紡ぎ終えて」
36. 合唱付きリート「ある時、名誉を重んずる娘が」
37. レチタティーヴォ「乾燥した東のほうから」
38. アリア「これを見るが良い、惑わされた人間よ」
39. 三重唱と合唱「それから、大いなる朝が」

脚注

外部リンク：四季の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

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