四季裁判所

四季裁判所についての概要

四季裁判所（しきさいばんしょ）は、イングランド、ウェールズ、スコットランドで行われていた重要な司法機関です。この裁判所は、中世以来、年4回の定期的な会合を持ち、刑事事件を処理する役割を果たしてきました。その名は「四半期」（Quarter）と「会合」（Sessions）に由来し、定期的に開催されることを示していますが、実際の季節とは特に関係がありません。イングランドでは1971年、スコットランドでは1975年まで存在した制度です。

起源と発展

四季裁判所の起源は1220年代にさかのぼるとされており、その後1388年に成文法によって年4回の開催が義務付けられることでこの名前が定着しました。イングランドにおいては、国政改革運動の中で改革派の貴族によって各州に治安官が任命され、これが四季裁判所の設立に至る一因となりました。エドワード1世の時代には定期的に開催されるようになり、エドワード3世の頃には法曹官僚が治安官に任命されたこともありました。さらに、1349年に設置された労働者判事が1361年には治安官に統合され、16世紀には行政機関としての機能も持つようになりました。その結果、四季裁判所はイギリス国内外で広く影響を及ぼし、アメリカの13植民地やマレーシアでも同様の制度が導入されました。

20世紀に入ると、地方自治の業務が複雑化したため、四季裁判所の数は徐々に減少し、1971年に裁判所法の施行によってその伝統的な役割は廃止されることとなりました。

権能と機能

四季裁判所は、国王の大権に基づく星室庁の下級審の一部として機能していました。判決の根拠は国王の布告、判例、コモン・ローに支えられており、無報酬の治安判事が裁判を行っていました。治安判事はしばしば秋の伝統に基づいてノブレス・オブリージュとしての立場に立ち、未訓練の者も多く、法学院での教育を受けていない者も少なくありませんでした。これは、治安判事が裁判の遂行に必要な知識を持つことが必ずしも保証されていないことを意味しました。

四季裁判所は中小の犯罪を扱う刑事裁判所として設立され、通常は2から8人の治安判事によって判決が下されました。それに加え、小治安裁判所が下級審として設置され、判決に不服な者は四季裁判所に上訴することが可能でした。ただし、死刑や終身刑を宣告する権限はなく、重犯罪に関しては巡回裁判所がその管轄となりました。また、四季裁判所の決定に対して不服申し立てを行うことができるのは、星室庁のような大権裁判所でした。

16世紀以降は地方行政に関連する許認可も扱い、道路や橋の維持管理、パブの開業許可、救貧行政、民兵の管理など、多岐にわたる地方自治の機能を果たしていました。四季裁判所の活動や決定は詳細に記録されており、これらは地方史や社会史における貴重な一次資料として現在でも利用されています。

参考文献

• - 今井宏編「世界歴史大系 イギリス史2 -近世-」山川出版社、1990年
• - 尾形勇 他編「歴史学事典9 -法と秩序-」弘文堂、2002年
• - 城戸毅 執筆「四季裁判」
• - 松村赳・富田虎男編「英米史辞典」研究社、2000年
• - Cannon, J(ed.,) Oxford Dictionary of British History, Oxford University Press, 2003

四季裁判所は、イギリスの法制史において特に重要な役割を果たした機関であり、その影響は今でも色々な形で見られます。

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