四式二〇糎噴進砲

四式二十糎噴進砲の概要

四式二十糎噴進砲（よんしき20せんちふんしんほう）は、大日本帝国陸軍が1944年に正式に採用した口径203mmのロケット砲です。この火器は第二次世界大戦の末期に使用され、特に硫黄島や沖縄の戦闘での活躍が記録されています。簡易な構造にもかかわらず、高威力を誇り、日本本土決戦の切り札としての期待も寄せられていました。

開発の背景

本砲の開発は、1943年7月に陸軍で開始されました。厳しい地形においても発射が可能な兵器が求められ、噴進砲に着目しました。研究は第7陸軍技術研究所が主導し、初めて設計された二十糎噴進榴弾を使用した試作が始まりました。8月には試作された発射機が大阪陸軍造兵廠で作成され、9月には「ろ弾」という名称が付けられ、後に「噴進砲」と改称されることになります。

構造と性能

四式二十糎噴進砲の発射機は、大型迫撃砲に似た外観を持ち、発射機の主な構成要素は砲身、二脚、連結架、床板、照準具から成ります。砲身は、モジュール化されており、分割設計がなされています。また、砲身は滑空設計で、弾道が安定するように設計されています。発火は摩擦式で行い、高低照準機が装備されています。

現場で使用される発射機は、手軽さを重視した三脚構造でできており、発射台は木製であり、簡易に現地で作成できるようになっています。船載用には特殊なII型発射機も設計され、噴進炎からの防御が施されています。

砲弾の特性

本砲で使用される砲弾は、燃焼ガスを利用して飛翔するロケット弾であり、一般的な砲弾とは異なる原理を使用しています。弾頭と弾尾はねじ式で結合され、6つの噴射口が配置されており、これにより飛行時の安定性を確保しています。信管には、瞬発と短延期を選択できる機能があり、炸薬量は16.5kgに達します。

最大射程は、約2,500mに及び、発射時には5m以上を離れることが推奨されていました。特に後方からの噴進炎に対しては注意が必要です。

実戦での運用

四式二十糎噴進砲は、その簡便な設計により、奇襲攻撃に適していました。日本陸軍は、これを用いて、相手を精神的にも揺さぶることを目指しました。実際、硫黄島や沖縄の戦闘では合計で70門が投入されました。この火器は、米軍に対して大きな被害を与える一方で、弾薬が50発に制限されていたため、すぐに使い果たされる運命にありました。

結論

四式二十糎噴進砲は、日本の陸軍による独自の工夫が結実した兵器であり、戦争末期の激しい戦闘で特にその特性を発揮しました。大日本帝国の陸軍は、戦局の厳しい中でこの兵器を有効に運用し、相手に恐怖を与える存在として名を馳せました。このような歴史的背景を通じて、四式二十糎噴進砲は日本の軍事史において重要な役割を果たしました。

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