四式肉薄攻撃艇

四式肉薄攻撃艇について

概要

四式肉薄攻撃艇、略してマルレ艇は、第二次世界大戦中に日本陸軍によって設計された特攻型小型艇です。この艇は敵艦へ体当たりして攻撃することを目的としており、全長5.6メートル、全幅1.8メートル、排水量約1.5トンという軽量な構造を持っています。搭載されたエンジンはトヨタ自動車や日産自動車製の60馬力程度のものです。艇体後方には250キログラムまたは120キログラムの爆雷を装備し、最高速度は23～25ノット、航続時間は約3.5時間でした。見た目は緑色の迷彩塗装を施されており、当時の実戦部隊によって「アマガエル」と名付けられました。

開発の経緯

1944年の初め、日本陸軍は敵上陸船団を攻撃するために新たな特攻兵器の開発に着手しました。当初の計画では水際防衛を陸軍が自ら行うべく、大量の小型舟艇による奇襲攻撃を目指していました。この戦略は当時の陸軍部内で盛んに議論され、1944年5月には新たに第10陸軍技術研究所が設立されました。6月には試作艇の設計と製造が開始され、7月には初号艇が完成しました。マルレ艇はその後、海軍の特攻艇「震洋」と共に運用されることになり、大本営は両者を統合することを決定しました。

実戦運用

実際の戦闘では、マルレ艇は主に海上挺進戦隊に配備されました。1944年8月、陸軍と海軍の特攻艇の効果的な運用が認識された結果、両者は共同で「マル八」として行動することとなりました。この新たな戦法は「震天」と名付けられ、統一された指揮のもとに特攻を行う計画が立案されました。各地の海岸にマルレ艇の基地が設置され、連合軍の上陸に備える行動がとられました。

攻撃方法と戦果

マルレ艇の運用方法は主に敵上陸作戦に対するものでした。具体的には、秘匿基地から一斉に出撃し、体当たりや爆雷投下による攻撃が行われました。輸送船団が近づくと、数十隻の艇が同時に攻撃を仕掛ける計画が立てられていました。しかし、戦局が悪化する中で、多くの艇が輸送中に遭難することがあり、実戦投入前に大きな損失を被りました。

1945年にはコースト戦や沖縄戦を通じて、マルレ艇は実際に技能を発揮しました。特に沖縄戦では、マルレ艇によるいくつかの敵艦艇や輸送船の撃沈が報告されていますが、戦果の正確な評価は難しい部分がありました。全体として、マルレ艇は日本陸軍の特攻戦法の一環として重要な役割を果たしましたが、戦局の厳しさが彼らの展開に大きな影を落とす結果となりました。

マルレの文化的な位置づけ

特攻艇としてのマルレは、その存在が戦争の厳しさと犠牲感を象徴しており、文学や映像作品においても取り上げられています。例えば、深水黎一郎の小説や、関西テレビのドラマにおいてその姿が描写されています。また、ドキュメンタリー番組でも特攻隊員の体験が紹介され、現代における戦争の理解の一助となっています。

このように、四式肉薄攻撃艇は日本陸軍の特攻作戦の重要な一部として位置づけられており、その戦歴や文化的意義は今なお注目され続けているのです。

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