四日市市歌

四日市市歌について

三重県四日市市には、2つの市歌が存在しています。最初の「四日市市歌」は1935年に制定され、その後1957年に新たな市歌が作られました。これらの市歌は、地域の風景や歴史、文化を反映するものであり、多くの市民に愛されています。

初代市歌の誕生

初代の市歌は、1935年に四日市市役所へ寄贈されました。その制作は、地元の新聞社である三重日日新聞と勢州毎日新聞の共同事業によって選ばれたもので、選考には文学博士の佐佐木信綱や文部省図書局長の芝田徹心が関与しました。作詞は米富貢が手がけ、作曲は岡野貞一によるもので、当時の工業都市としての四日市の姿を歌にしっかりと描写しています。

歌詞の中には「続く工場の煙立ち」というフレーズがあり、この煙は後に四日市ぜんそくの原因となったコンビナートからのものであると認識されています。しかし、コンビナートが正式に操業を開始するのは、2代目市歌が制定される2年後のことでした。これは四日市市内での経済活動と健康問題の関連性を考える上で非常に興味深いトピックです。

2代目市歌の制定

1957年、四日市市は市制60周年を記念して新たな市歌を制定しました。この時の作詞者は初代市歌の審査委員でもあった佐佐木信綱が選ばれ、作曲は東京芸術大学の教授である伊藤亘行に依頼されました。これにより、地域の文化に根ざした市歌が新たに生まれることとなりました。

新しい市歌の中で歌われる「工場の煙絶え間なき」という表現は、四日市の工業活動を示すものとして引き続き重要視されています。当時の市民の生活や地域の発展がどのように結びついているのかを、この歌を通じて感じ取ることができます。さらに、この市歌はビクターレコードからレコード化され、作曲者自身が歌を披露しており、多くの人々に親しまれました。

市歌の位置づけと現状

2005年に四日市市は三重郡楠町を編入合併しましたが、合併時に市歌に関する特別な取り決めは行われず、現行の「四日市市歌」はそのまま存続しています。四日市市役所は、この市歌が「大四日市まつり」などのイベントで演奏される場面があることを示しており、地域の文化的アイデンティティの一部として市民に親しんでいます。

まとめ

四日市市歌は、地域の歴史や文化、そして市民の生活を映し出す重要な役割を果たしています。初代歌と現市歌は、時代を超えて四日市市民の心に残り、地域におけるアイデンティティの一部として各種イベントで歌い継がれています。市歌を通じて、四日市市の独自性や、その歴史的背景を深く知るためのきっかけになることでしょう。

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