四月の魚

映画『四月の魚』の概要

『四月の魚』は、1984年に日本で制作されたラブコメディ映画で、1986年に一般公開されました。本作は、ジェームス三木による小説『危険なパーティー』が原作となっています。監督は大林宣彦で、当時は日本映画にプロモーションビデオが初めて導入された作品としても知られています。また、同時上映には『熱海殺人事件』がありました。

映画のタイトル「四月の魚」は、フランス語の「ポワソン・ダヴリル」に由来し、エイプリルフールを指します。物語では、主人公・根本昌平が女優万理村マリとの関係を築く過程の中で、4月1日に特別な意味を持つエピソードが展開されます。特に、フランスではこの日に魚の形をしたチョコレートを贈ると恋愛が成就するという迷信があり、昌平がそのことをマリに教える場面が印象的です。公開時の文献では「四月の魚・ポワソン・ダヴリル」という表記が使われることが多く、本作の含意が伝わります。

あらすじ

この映画の主人公、根本昌平は初監督作品が高く評価され、主演女優の衣笠不二子と結婚しますが、その後の興行成績は振るわず、彼は長い間映画から離れます。ある日、昌平は以前訪れた南の島アラニアの酋長から手紙を受け取り、4月1日に訪れるという知らせを受け取りました。

アラニアには、友情の証として妻を一晩提供するという習慣があり、昌平は以前に酋長の妻ノーラと過ごした経験がありましたが、その時間は特別なものではありませんでした。彼は友人の脚本家藤沢にそのことを相談し、新人女優を呼ぶことで解決しようと思います。4月1日当日、昌平は本当の妻を実家に送り返し、その後藤沢が招いた女優、万理村マリを迎え入れます。

マリは、昌平がずっと憧れていた女性だったため、彼は驚きます。パーティーが盛り上がる中、突然不二子が帰宅してしまい、大騒ぎになります。しかし、最終的には誤解が解け、昌平と不二子は仲直りします。酋長から、実はノーラも替え玉であったことを知ります。後日、酋長に招かれたマリの書いた旅行記がベストセラーになり、それが映画化されることが決まります。

キャスト

• - 根本昌平: 高橋幸宏
• - 衣笠不二子: 赤座美代子
• - 万理村マリ: 今日かの子
• - 脚本家藤沢: 泉谷しげる
• - その他のキャストには、入江若葉、三宅裕司、中村勘五郎、四禮正明、明日香尚、小林のり一、横山あきお、峰岸徹、ジェームス三木、丹波哲郎などが含まれています。

製作過程と特徴

大林監督は、従来のロケを行わず、セットに近い環境で撮影を進めることを望みました。脚本に関しては、彼自身と内藤忠司の二人で原作を3日で脚色し、二週間の準備を経て、約25日で撮影を完了させました。製作費は1億円であり、当時としては比較的珍しい料理を題材にしたシチュエーション・コメディの要素が含まれています。

主演の高橋幸宏は、当初不参加の意向を示していましたが、監督の巧みな説得により、出演を決定しました。この映画の影響で、彼は役者としてのキャリアを本格的にスタートさせますが、役作りのストレスから健康を害することもありました。ヒロインをめぐるプロットから出発することが多い大林作品の中で、本作は少し異なる視点で展開され、ヒロインは出演後ほぼ映画界から姿を消すこととなります。

撮影と興行結果

1984年5月10日にクランクインし、都内およびにっかつ撮影所での撮影を経て、6月初旬にクランクアップを迎えました。完成にはさらに2ヶ月を要しましたが、劇場公開は完成から1年半後となりました。これらの背景を持つ『四月の魚』は、意外な出会いや人間関係の複雑さが面白く描かれた作品として、多くの人々に愛され続けています。

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