四条隆俊

四条隆俊（しじょう たかとし）は、南北朝時代に活躍した公卿であり、武将でもありました。大納言・四条隆資の子として生まれ、南朝に仕え、その生涯を戦乱の中で終えました。

隆俊の父である隆資は、北朝との戦いで命を落としており、隆俊はその後を継ぎました。南朝の後村上天皇に仕え、権中納言を経て、建徳3年/応安5年（1372年）には内大臣に任じられ、南朝において重要な地位を占めました。この時期、南朝は足利直冬や北朝から転じた細川清氏らと協力し、京都への侵攻を何度か試みており、隆俊はその際、南朝軍の総大将として武功を上げました。彼は武将としての才能も持ち合わせていたと言えるでしょう。

南朝内部では、隆俊は和田正武や北畠顕能らと並び、北朝との徹底抗戦を主張する主戦派の中心人物でした。一方、楠木正儀ら和平派とは対立していました。正平24年/応安2年（1369年）に正儀が北朝に投降すると、長慶天皇の命を受け、正儀の居城であった東条城を攻撃しています。このことからも、隆俊の徹底抗戦の姿勢が伺えます。

文中2年/応安6年（1373年）、幕府軍は正儀を先導に、南朝の拠点であった天野山金剛寺を攻めました。これに対し、和田正武らが懸命に防戦しましたが、力及ばずに敗退しました。幕府軍の追撃は厳しく、撤退戦において殿（しんがり）を務めた隆俊は奮戦しましたが、遂に討ち取られてしまいました。

『花営三代記』によると、隆俊は幕府軍の細川氏春の陣に奇襲をかけたものの、逆に討ち死にしたとされています。隆俊の兄弟たちも既に亡くなっていたり、消息不明であったため、彼の死によって父・隆資から続く四条隆俊の系統は途絶えることとなりました。

武将としての側面が強く語られる隆俊ですが、和歌にも長けており、後年宗良親王（後醍醐天皇の皇子）が編纂した『新葉和歌集』には、彼の詠んだ歌が収録されています。これは、彼が文武両道に優れていたことを示していると言えるでしょう。

四条隆俊は、南北朝時代の動乱期に南朝を支え、武将として、また歌人としても活躍した人物として、歴史に名を残しています。彼の生涯は、南朝の興亡と深く結びついており、その最期は、南朝の悲劇を象徴しているとも言えるでしょう。

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