北畠顕能

北畠顕能の生涯

北畠顕能（きたばたけ あきよし）は、南北朝時代における公卿であり武将として活躍した人物です。彼は准三后北畠親房の三男とされ、彼の兄には顕家と顕信がいます。顕能は、その出生についてのいくつかの説があり、一部の学者は彼が中院貞平の子であるとも考えています。1383年に亡くなるまで、彼は南朝の重要な役割を果たしました。

多気入城と伊勢国司の任命

顕能は、延元元年（1336年）10月に父と兄と共に伊勢国へ下向しました。彼は度会家行の支援を受けて玉丸城を築き、次第に伊勢の国司に任命されるようになったとされています。この時期、南朝軍は著しい退潮を迎え、顕能は武家勢力と戦うために伊勢の守護としての様々な責任を担うことになりました。

彼の初期の活動では、延元4年には神山城への攻撃に対し、愛洲氏と共に防戦し成功を収めました。しかし、1342年までは南軍の戦況は厳しく、玉丸城やその他の城が陥落する結果となりました。

京都回復と足利氏との戦闘

1351年、顕能は足利氏の内訌（観応の擾乱）に乗じて再び軍を起こしました。南朝の抵抗は続きましたが、同年11月には正平一統が成立し、京都警固の任に就いて上洛します。顕能は南軍を率いて、京を取り戻すために戦い、敵軍に勝利を収めました。しかしその後、朝廷内で力のバランスが変わると、南朝の京都支配は長く続かず、顕能は再び退却を余儀なくされました。

北勢・伊賀への進出

その後、顕能は多気に帰り、再度の軍拡を図りました。彼は伊勢から大和へ進出し、敵との戦闘に明け暮れました。この時期には、彼の指揮の下、多くの戦闘が行われ、特に正平10年には六角氏との戦闘で勝利を収めています。

顕能はまた、1390年代初頭には南朝支持を確保するために内大臣に任じられ、指導的な地位にありました。彼の生涯において、伊勢国への支配と南朝防衛に全力を尽くしました。

晩年と死去

彼の活動は晩年に及ぶまで続き、1372年には権力を息子の顕泰に譲ることになりましたが、その後も顕能は国政へ一定の関与を持ち続けたと考えられています。彼は1383年に亡くなり、享年は58または63と伝えられています。顕能の死は、南北朝の統一に向けた道を開くとされ、その革新には影響を与えたとされます。

文人的存在

また、公家としての一面も持ち合わせており、歌人としても活動しました。『新葉和歌集』には顕能の作とされる歌が多く収められています。特に「いかにして伊勢の浜荻吹く風の治まりにきと四方に知らせむ」という歌は広く知られ、顕能を慕う北畠神社にも歌碑が建立されています。彼の生涯は、伊勢の治世を守り続けたことから、南朝を支える重要な柱石となりました。

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