四王天延孝

四王天延孝（しおうでん のぶたか）

四王天延孝は、1879年9月2日に生まれ、1962年8月8日に亡くなった日本の陸軍軍人であり、政治家でもあります。本名は西村茂兵衛の弟として誕生し、後に川越藩士四王天政彬の養嗣子となりました。彼は明治時代から昭和の初期にかけて、陸軍の重要な職務を歴任し、その後政治の分野でも影響力を持つようになりました。

彼は1899年に陸軍士官学校を卒業し、工兵少尉として近衛工兵大隊に配属されました。その後、日露戦争にも参加し、近衛工兵大隊の中隊長や大本営運輸通信長官の副官など多くの重要な役職を歴任しました。1909年には陸軍大学校を卒業し、さらなるキャリアの飛躍を遂げることとなります。

1920年、彼はシベリア出兵で浦塩派遣軍司令部に従軍し、以後も関東軍司令部の特務機関長として活動しました。また、陸軍航空学校の教官として航空分野にも進出し、航空学の普及に寄与しました。これらの実績から、1924年に陸軍少将に昇進し、さらには1929年に陸軍中将に昇格しました。その後、彼は予備役に編入されました。

彼の政治活動は、特に戦局が厳しくなる昭和14年頃から強まります。1939年には「英国排撃市民大会」での演説を通じて、ユダヤ人に対する批判を展開し、戦争を取り巻く問題についても言及しました。また、1942年の翼賛選挙には東京5区から出馬し、結果的に76250票を獲得し議員に選出されました。この選挙では、戦争背後に潜むユダヤ勢力の影響についても言及し、支持を集めました。

1944年に行われた帝国議会では、陸士同期の安藤紀三郎に対し、ユダヤ人に関連する質問を行い、記憶に残る答弁を引き出しました。その後、第二次世界大戦の終戦後には連合国の指示により逮捕され、A級戦犯容疑で起訴されることとなります。彼はその後、公職追放となりますが、1947年に釈放されました。

四王天はまた、著作や訳書を通じてユダヤ陰謀論を広め、特に『シオン賢者の議定書』の翻訳で知られています。彼の著作は政治的、歴史的な文脈で重要視されています。彼の業績は、反ユダヤ主義の観点から日本の政治史において研究の対象とされることが多いです。

1962年8月8日、東京都の日本赤十字社中央病院にて老衰により亡くなりました。彼の生涯は、日本の陸軍と政治における複雑な背景を浮き彫りにし、多くの意見や評判を呼び起こす存在となっています。

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