四睡図

四睡図（しすいず）は、禅画の画題の一つで、豊干禅師（ぶかんぜんじ）、寒山（かんざん）、拾得（じっとく）という三人の人物が虎と共に眠る姿を描いたものです。この絵は、禅の真理や奥深い境地を象徴的に表していると解釈されています。

四睡図の構成

多くの四睡図では、画面の中央に豊干禅師が大きく描かれ、その左右に虎、寒山、拾得が小さく配置されています。これらの要素は不等辺三角形を形成し、静けさと安定感のある構図を作り出しています。この安定した構図は、四睡図に共通する特徴と言えるでしょう。

四睡図の解釈

四睡図は禅機図（ぜんきず）として、見る人によって様々な解釈が可能です。登場人物たちの関係性や、眠るという行為そのものが、禅の教えを反映していると考えられます。例えば、虎は人間の制御できない本能や煩悩を象徴し、三人の人物はそれらを超越した境地を表している、という解釈も成り立ちます。

四睡図と墨絵

四睡図は禅画であるため、墨絵で描かれることが多いですが、日本の浮世絵においては、「風流四睡図」のように、風俗画として着彩された作品も存在します。これにより、四睡図は禅の世界だけでなく、より大衆的な芸術としても親しまれてきました。

松尾芭蕉と四睡図

松尾芭蕉は、天宥（てんゆう）が描いた四睡図に以下の句を残しています。

暫時は 寐（い）ねて浄土の 物語

この句は、四睡図の静寂な雰囲気と、眠りを通して得られる心の安らぎを表現していると言えるでしょう。

四睡図の周辺

南北朝時代の画家である黙庵（もくあん）も四睡図を描いており、祥符紹密（しょうふしょうみつ）が黙庵の四睡図に賛を付けています。

四睡図から得られるもの

四睡図は、見る人に静寂と安らぎを与え、禅の境地へと誘う力を持っています。また、四睡図の多様な解釈を通して、自己の内面を見つめ、新たな発見を得るきっかけになるかもしれません。

参考資料
e国宝
コトバンク

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