四阪島

四阪島について

四阪島（しさかじま）は、瀬戸内海に位置し、愛媛県今治市の10km南東、新居浜市の北北東約18kmに広がる無人島群です。構成する5つの島、すなわち家ノ島、美濃島、明神島、鼠島、梶島の総称として知られています。今治市の地名および住所表記には「宮窪町四阪島」が用いられ、郵便番号は792-0080です。

概要

一般的に四阪島と呼ばれるこれらの島々は、愛媛県今治市（旧宮窪町）に属していますが、住友金属鉱山との関係を通じて同県新居浜市とも密接に結びついています。特に家ノ島には、産業として住友金属鉱山の子会社である株式会社四阪製錬所の工場が設立されています。この地域には常住する住民はいなく、工場の従業員たちは新居浜市から定期船で通勤しています。

歴史的背景

四阪島の歴史は1691年（元禄4年）の別子[[銅山]]の開坑に遡ります。その後、住友は銅の精錬事業を行い、別子[[銅山]]の影響で亜硫酸ガスによる煙害が深刻な問題となったため、製錬所を無人島の四阪島に移転する決断を下しました。1895年（明治28年）に四阪島を購入し、1905年（明治38年）には精錬所の操業を開始しました。これにより、住友の製錬技術が新たな地で活かされることになりました。

当時、足尾銅山の公害問題が広く知られており、田中正造氏は四阪島への移転を称賛したことで、国会でも言及されました。この歴史的な背景は、当時の社会における鉱業の影響を物語っています。家ノ島に精錬所が設けられ、美濃島には関連する社宅も整備されるなど、地域の発展が見られました。

環境問題とその影響

四阪島に精錬所が移転した結果、煙害は拡大し、周囲の村々にも影響を及ぼしました。1909年（明治42年）には、国の鉱毒調査委員会が対策を講じるため短い煙突を設計しましたが、結果的には効果が薄く、高濃度の亜硫酸ガスの影響は続きました。これに伴い、精錬鉱量の制限や保証金支払いが行われ、1930年に脱硫装置が設置されるなどして、徐々に公害問題に対策が取られるようになりました。

島々の構成

1. 家ノ島：この島は製錬所が設立されており、現在も四阪製錬所のリサイクル工場が稼働している。工場用地として完全に利用されています。

2. 美濃島：かつて家ノ島の製錬所の従業員のために生活拠点が築かれ、さまざまな施設が整った時期があります。今では記念館として移築された別邸も存在します。

3. 明神島：無人島であるが、かつては仮設社宅が存在し、農作物の供給源としての役割を果たしていました。

4. 鼠島：こちらも無人島で、かつては火葬場と納骨堂が設置されていました。

5. 梶島：やや離れた無人島で、戦前には採石場が存在しましたが、現在は無人化しました。

現在の状況

四阪島は現在、株式会社四阪製錬所として運営される工場が中心となっており、従業員は新居浜港から交通機関を利用して通っています。交通手段としては、専用の船が利用されていますが、現在も大部分が企業所有地で観光地としての利用は限定されています。

まとめ

四阪島は、歴史的背景や環境問題、社会的な側面が絡み合った独特な場所です。この地の産業の発展とともに変遷を辿る歴史は、今でも多くの関連が存在し、現代においても多くの人々に影響を与え続けています。

もう一度検索