回転性めまい

回転性めまいとは

回転性めまい（英：vertigo）は、実際には体が静止しているにもかかわらず、自分自身や周囲の景色が回転しているように感じる状態を指します。これは、主に内耳にある前庭神経や三半規管の異常によって引き起こされます。これらの器官からの誤った情報が脳幹に伝達されることで、脳が体を回転していると錯覚してしまうのです。

回転性めまいのメカニズム

なぜ回転性めまいが起こると、周囲の景色が回転して見えるのでしょうか？ それは、実際に回転している時に人間が特定の対象を見続けようとする反射（前庭眼反射）が関係しています。前庭眼反射は、平衡感覚を維持するために眼球を動かす仕組みですが、回転性めまい時にはこの反射が過剰に働き、眼球が左右に規則的に動く眼振を引き起こします。この眼振が、景色が回転しているように感じさせる原因となります。

コーヒーカップに乗ったり、その場でぐるぐると回ったりした後に、数十秒程度のふらつきとともに同様の感覚を体験することがあります。これは、一時的に前庭眼反射が過剰に働いた結果であり、正常な反応です。

また、回転性めまいが生じると、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。これは前庭自律神経反射と呼ばれるもので、平衡感覚の異常が自律神経系に影響を与えるために起こります。

回転性めまいを引き起こす疾患

回転性めまいは、原因となる部位によって大きく「末梢性めまい」と「中枢性めまい」に分類されます。

末梢性めまい

末梢性めまいは、内耳や前庭神経といった平衡感覚を司る末梢器官の異常によって引き起こされます。代表的な疾患としては、以下のものがあります。

良性発作性頭位めまい症： 特定の頭の位置でめまいが誘発されるのが特徴です。内耳にある耳石が剥がれ、三半規管に入り込むことで起こります。
前庭神経炎： 前庭神経に炎症が起こり、突然激しいめまいが生じます。
突発性難聴： 突然の難聴とともにめまいが生じることがあります。
メニエール病： 内耳の内リンパ液が増加し、難聴、耳鳴り、めまいが繰り返されます。

中枢性めまい

中枢性めまいは、脳幹や小脳といった中枢神経系の異常によって引き起こされます。末梢性めまいに比べて重篤な疾患が原因となることが多く、注意が必要です。代表的な疾患としては、以下のものがあります。

橋外側症候群： 脳幹の一部である橋の外側部分の梗塞によって起こります。
延髄外側症候群： 脳幹の一部である延髄の外側部分の梗塞によって起こります。
* 椎骨脳底動脈循環不全： 椎骨動脈や脳底動脈の血流が悪くなり、脳幹や小脳への血流が不足することで起こります。

回転性めまいは、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。めまいを感じたら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

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