団体専用列車

団体専用臨時列車：団体のニーズに応えるJRの貸切列車

団体専用臨時列車とは、一般の旅客が利用する多客臨時列車とは異なり、学校法人、企業、組合といった団体が、JRに車両を貸し切って運行する列車です。一般的に「貸切列車」と呼ばれますが、国鉄、そしてJRの旅客営業規則上では貸切列車とは明確に区別されています。団体乗車券で発券された場合は「団体専用臨時列車」と正式に呼ばれ、「団臨」という略称で広く知られています。

団体列車の形態

団体列車は、その形態によっていくつかの種類に分類されます。この分類は、国鉄からJRへと受け継がれる貸切乗車券制度との区別を明確にするためです。

1. 旅客車専用扱: 一般の旅客列車の一部を団体が貸し切る形態です。比較的少人数の団体が利用する場合に多く見られます。新幹線などでは、他の旅客との兼ね合いで、編成の最後尾から座席を確保していくのが一般的です。この形態には、一般旅客列車に専用の車両を連結するケースも含まれます。

2. 団体専用臨時列車: 団体のために、専用の臨時列車が設定される形態です。略称は「団臨」。ジョイフルトレインなどの豪華列車が使用されることも少なくありません。

3. 貸切列車: 国鉄・JRでは、貸切乗車券規定を適用する列車を指しますが、定員に関する厳しい規定や高額な料金設定のため、実質的に運行されることはほとんどありません。一方、路面電車などでは貸切運賃の規定を持つ路線が多く、それらの路線で運行される団体列車はこれに該当します。

かつて国鉄では、主に修学旅行用に団体専用車両を保有していましたが、現在のJR各社では、ジョイフルトレインを除き、特別な団体専用車両を用意していません。近畿日本[[鉄道]]など、営業距離の長い私鉄会社の中には、現在も団体専用車両を保有・運用しているところもあります。

JRグループにおいては、個人や少人数の団体が団体専用列車を利用するのは困難です。大手旅行会社が列車をまとめて買い取り、中小旅行会社に再販売するビジネスモデルも、盛んではありません。クルーズトレインのような観光列車も、パッケージツアーとして販売されることが多いため、団臨として扱われます。また、近畿日本[[鉄道]]、阪神電気鉄道、阪急電鉄などでは、「団体」ではなく「貸切」と表示するケースも見られます。

代表的な団体専用臨時列車

団体専用臨時列車は、その利用目的によって様々な種類があります。

1. 修学旅行列車: 修学旅行の生徒、教師、添乗員の輸送を目的とする列車です。かつては専用の車両や列車が設定され、時刻表に掲載されることもありました。

2. 甲子園応援列車: 高校野球選手権大会（夏の甲子園）や選抜高等学校野球大会（春の甲子園）の観戦客を輸送する列車です。「甲子園臨」と呼ばれ、出場校の最寄り駅などから運行されます。近年は、貸切バスや新幹線、航空機を利用するケースが増加し、専用列車の運行本数は減少傾向にあります。

3. 初詣臨時列車: 各地の神社仏閣への初詣客を輸送する列車です。「高尾臨」「成田臨」「鎌倉臨」など、目的地によって様々な名称があります。多くの場合、旅行会社主催のツアーとして企画され、ツアー参加者以外に乗車することはできません。

4. 宗教団体臨時列車: 特定の宗教団体の信者を、聖地や行事に輸送する列車です。「天理臨」「金光臨」「創価臨」「法華臨」など、宗教団体ごとに名称が付けられています。かつては、専用の車両や列車が設定されることもありましたが、近年は減少傾向にあります。

5. 観光団体専用列車: 旅行会社と国鉄が提携して企画された、専用の優等列車を使用した観光ツアーです。1960年代には、多くの観光団体専用列車が運行されていましたが、新幹線の普及などにより、次第に廃止または一般列車への転換が行われました。

6. 集団就職列車: 戦後の高度成長期に、地方から都市部へ就職する若者を輸送した列車です。1954年から1975年まで運行されました。

団体専用臨時列車は、団体のニーズに応える重要な交通手段ですが、交通手段の多様化や利用者の減少などにより、その運行本数は減少傾向にあります。しかし、特別なイベントや大規模な団体輸送が必要な場合には、今後も重要な役割を担っていくと考えられます。

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