団体等規正令

団体等規正令とは

団体等規正令（だんたいとうきせいれい）は、昭和24年政令第64号として公布された日本の政令です。この政令は、戦後の混乱期において、「暴力主義的・反民主主義的」とみなされた団体の活動を規制することを目的としていました。その前身は、ポツダム命令に基づき昭和21年に制定された「政党、協会其ノ他ノ団体ノ結成ノ禁止等ニ関スル件」という勅令でした。この勅令が昭和24年に全部改正され、団体等規正令として新たに発足しました。この政令は、しばしば「団規令」（だんきれい）と略称されます。

しかし、昭和27年に破壊活動防止法が施行されると、この団体等規正令は廃止されることになりました。

規制の概要

団体等規正令は、政治活動を行う団体に対して、その活動内容を届け出ることを義務付けていました。また、法務庁（法務総裁）には、これらの団体が本令を遵守しているかどうかを調査する権限が付与されていました。もし団体が規制対象に該当すると判断された場合、その団体は解散させられ、解散した団体の財産は政府によって管理・処分されることになりました。

規制対象となった団体の主な該当事由

団体等規正令によって規制対象とされた団体は、以下のような事由に該当する団体でした。

占領軍やその政策に反抗する団体
日本の侵略的対外軍事行動（大東亜共栄圏や八紘一宇思想など）を支持・正当化する団体
日本が他のアジア諸国や民族の指導者であると主張する団体
国内において外国人を貿易や職業から排除しようとする団体
国際的な文化・学術交流に反対する団体
軍事・準軍事訓練を実施したり、軍人経験者に特別な優遇措置を与える団体
暗殺などの暴力的な手段で政策を変えようとする団体や、暴力を肯定する団体
過去に本令で解散させられた団体の構成員が主要な役員となっている団体
旧軍の将校経験者が主要な役員となっている団体
憲兵隊、特務機関、諜報機関の勤務経験者や協力者が主要な役員となっている団体
団体の構成員の一定割合以上が、解散団体の構成員、旧軍将校経験者、憲兵隊関係者などである団体

これらの規制対象となった団体の主要幹部やスポンサーは、公職追放令によって公職から追放される対象となりました。また、規制対象となる団体の結成や指導、政治活動の届出義務違反、法務総裁の調査拒否などは刑事罰の対象となりました。

実際に規制対象となった団体

実際には、GHQの政策に反対する団体、戦前の軍国主義を支持する団体、右翼・左翼団体、暴力団などが規制対象となりました。具体的には、在日本朝鮮人連盟や在日朝鮮民主青年同盟などが解散処分を受けています。

1950年には、日本共産党の幹部9名が、政府の出頭命令を拒否したとして団体等規正令違反で逮捕状が出され、地下に潜伏するという事件も起こりました（団規令事件）。

廃止とその後

昭和27年4月28日にサンフランシスコ講和条約が発効し、日本が国家主権を回復すると、団体等規正令は同年10月25日に失効すると定められました。しかし、同年7月21日に「暴力的破壊活動」を取り締まる破壊活動防止法が制定されたため、団体等規正令は3ヶ月前倒しで失効しました。

指定団体の一覧

「団体等規正令」及びその前身である「政党、協会其ノ他ノ団体ノ結成ノ禁止等ニ関スル件」によって指定された団体の一覧については、ここでは割愛します。

関連項目

団体等規正令は、戦後の日本の政治状況を反映した特別な政令であり、関連する法律としては、以下のようなものが挙げられます。

治安維持法
破壊活動防止法
無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律
* 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

これらの法律とともに、団体等規正令は日本の戦後史において重要な役割を果たしました。

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