国務委員 (中華人民共和国)

国務委員とは

国務委員（こくむいいん、中：国务委员、英：State Councillor）は、中華人民共和国の最高行政機関である国務院を構成する重要な官職です。国務院総理（首相）を補佐し、国務院副総理（副首相）に次ぐ地位にあります。

国務院における役割

国務委員は、国務院全体会議および国務院常務会議の構成員として、政策決定に深く関与します。多くの場合、国防、外交、公安など、重要な省庁の長官（閣僚）を兼務し、それぞれの分野で責任を担います。しかし、省庁の兼務がない場合（無任所大臣）もあります。

設置の背景

文化大革命後、多くの古参幹部が復活し、名誉職的な副総理のポストが乱立しました。これにより、副総理の数が20人以上にまで膨れ上がってしまいました。この状況を解消するため、1982年に国務委員が設置されました。国務委員は副総理と同様に重要業務の責任者となりますが、序列は副総理の下とされています。

国務院の構成

1982年12月10日に改正された国務院組織法によると、国務院は以下のメンバーで構成されます。

国務院総理（首相）
国務院副総理（若干名、副首相）
国務委員（若干名）
各部長・各委員会主任（閣僚に相当）
中国人民銀行行長（中央銀行総裁）
審計署審計長（会計検査長）
国務院秘書長（内閣官房長官）

歴代の国務委員

以下に、歴代の国務委員とその担当分野をまとめます。

第9期（1998年～2003年）
遅浩田（兼国防相）
羅幹（司法・公安統括担当）
呉儀（国際貿易担当）
イスマイル・アフマド（ウイグル族）（民族問題担当）
王忠禹（兼国務院秘書長）
第10期（2003年～2008年）
周永康（兼公安相）
曹剛川（兼国防相）
唐家璇（外交統括トップ）
華建敏（兼国務院秘書長）
陳至立（科学・教育担当）
第11期（2008年～2013年）
劉延東（科学・教育・文化・女性子供問題等担当）
梁光烈（兼国防相）
馬凱（兼国務院秘書長）
孟建柱（兼公安相）
戴秉国（外交トップ）
第12期（2013年～2018年）
楊晶（兼国務院秘書長、2018年2月に免職）
常万全（兼国防相）
楊潔篪（外交トップ）
郭声琨（兼公安相）
王勇（国営資産・防災等担当）
第13期（2018年～2023年）
魏鳳和（兼国防相）
王勇（国営資産・防災等担当）
王毅（兼外相）
肖捷（兼国務院秘書長）
趙克志（兼公安相（2022年6月まで））
第14期（2023年～2028年）
李尚福（兼国防相、2023年10月24日に解任）
王小洪（兼公安相）
呉政隆（兼国務院秘書長）
諶貽琴（文化・体育・総務・社会福祉等担当）
* 秦剛（兼外相（2023年7月25日まで）、2023年10月24日に解任）

まとめ

国務委員は、中国の政治において重要な役割を担う官職です。国務院の意思決定に参画し、各分野の責任者として政策を推進します。その変遷を辿ることで、中国政治の動向を理解する一助となるでしょう。

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