国史大辞典 (明治時代)

『国史大辞典』は、1908年（明治41年）に吉川弘文館より刊行された、日本で最初の本格的な日本史辞典です。それまで体系化された日本史の辞典が存在しなかった時代において、その登場は画期的な出来事でした。

概要

編集委員は、八代国治、早川純三郎、井野辺茂雄といった、当時の日本史研究を牽引した学者たちが名を連ねています。初版は、本文2,400ページに加え、230ページの年表と46葉の参考附図からなる別冊で構成されており、その情報量の多さと詳細さは、当時の日本史研究の水準を大きく向上させるものでした。

内容的には、明治維新以後の「現代史」は扱われていません。しかし、それ以前の時代については、政治、経済、社会、文化など、あらゆる側面から詳細な記述がなされており、日本史研究者にとって必要不可欠な辞典として広く利用されました。

初版刊行後も、『国史大辞典』は版を重ね、その需要の高さを示しました。1925年（大正14年）には大増訂版が刊行され、内容がさらに充実しました。昭和時代に入ると、小型の6冊からなる分冊版も出版され、より手軽に利用できるようになりました。当時の日本において、事実上唯一の本格的な日本史辞典として、その地位を確立していました。

なお、昭和期には冨山房から『国史辞典』が編纂されましたが、第二次世界大戦の影響で中断し、完成には至りませんでした。そのため、『国史大辞典』は、戦前の日本における日本史研究の基盤を支えた重要な辞典としての役割を果たしました。

参考文献
坂本太郎「国史大辞典」（加藤友康・由井正臣 編『日本史文献解題辞典』吉川弘文館、2000年）ISBN 978-4-642-01335-2

関連項目
国史大辞典 (昭和時代) - 同じく吉川弘文館より刊行（1979年 - 1997年）。

外部リンク
国立国会図書館デジタルコレクション
初版（[1908年]]）[doi:10.11501/992408
大増訂版（1925–26年）
第一（あ-お）doi:10.11501/925886
第二（か-こ）doi:10.11501/925887
第三（さ-と）doi:10.11501/925888
第四（な-わ）doi:10.11501/925889
増補年表 doi:10.11501/925890
附図 doi:10.11501/925891
大増訂版（1927年）
あ-お doi:10.11501/1188611
か-こ doi:10.11501/1188628
さ-と doi:10.11501/1188661
な-わ doi:10.11501/1188684
増補年表 doi:10.11501/1188704
附図 doi:10.11501/1188714
普及版（1928–29年）
あ-お doi:10.11501/1172003
か-こ doi:10.11501/1172014
さ-と doi:10.11501/1172030
な-わ doi:10.11501/1172046
増補年表 doi:10.11501/1172058
* 附図 doi:10.11501/1172069

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