国家憲兵隊治安介入部隊

フランス国家憲兵隊治安介入部隊（GIGN）：フランスの盾

フランス国家憲兵隊治安介入部隊（GIGN）は、フランスを代表する特殊部隊として、国内外のテロ対策や人質救出作戦でその名を馳せています。1970年代初頭、相次ぐ凶悪事件やテロ事件を受け、従来の警察部隊では対応困難な事態に対処するため、1974年に創設されました。GIGNの設立は、ミュンヘンオリンピックテロ事件や、フランス国内で発生した人質事件が大きな契機となっています。これらの事件は、フランスに特殊部隊の必要性を痛感させ、GIGN設立へと繋がりました。

創設と歴史

GIGNの前身となる部隊は、1973年に実験的に編成された地域圏介入コマンド部隊(ECRI)です。しかしながら、ECRIはGIGN設立へと至る重要な一歩となりました。本格的な部隊として発足したGIGNは、当初は2個隊体制でしたが、その後1個隊に統合され、現在に至ります。創設以来、数々のテロ事件や人質救出作戦に参加し、その高い専門性と実績から、フランスの治安維持に不可欠な存在となっています。GIGNは、国家憲兵隊の管轄区域である地方部を中心に活動しますが、必要に応じて国内全域、さらには海外領土や国外でも活動します。国家警察の特殊部隊であるRAIDと比較すると、GIGNはより広範囲を管轄し、出動件数もRAIDを大きく上回ると言われています。

組織と人員

GIGNは、作戦参謀部、管理支援部、複数の介入部隊、監視捜査部隊、保安警護部隊、GSPR分遣隊、作戦支援部隊、訓練部隊などから構成されています。主力である介入部隊は、空挺と戦闘潜水に特化した部隊を含め複数隊が編成されており、24時間体制で待機することで即応性を維持しています。隊員は全員志願制で、厳しい選抜過程と10か月の訓練課程を経て、精鋭だけが選抜されます。選抜課程の合格率はわずか7％程度と言われています。

装備

GIGN隊員は、最新の装備を駆使して任務に臨みます。特徴的な装備として、高精度を誇るマニューリンMR 73回転式拳銃があります。近距離射撃に適したこの拳銃は、GIGNのシンボル的な存在となっています。その他にも、グロック17などの自動拳銃、H&K MP5、FN P90、H&K MP7などの短機関銃、FAMAS、H&K G36C、H&K HK416、SIG MCX、CZ BREN2などの自動小銃、アークティックウォーフェアなどの狙撃銃、MINIMIなどの機関銃など、多様な武器を装備しています。

訓練

GIGNの隊員は、卓越した射撃能力を有することで知られています。隊員一人当たりの年間射撃訓練量は非常に多く、高度な射撃スキルを維持しています。また、山岳行動や戦闘潜水などの特殊訓練も実施し、あらゆる状況に対応できる能力を備えています。

主要作戦

GIGNは創設以来、数多くの作戦に参加してきました。ジブチ共和国でのバスハイジャック事件、クレーボー刑務所事件、コモロ紛争、エールフランス8969便ハイジャック事件など、重要な作戦でその存在感を示してきました。近年では、ダマルタン＝アン＝ゴエルでの印刷工場籠城事件にも対応しています。また、フランス軍との連携を重視しており、海外での作戦にも対応しています。

まとめ

GIGNは、高い専門性と訓練レベルを誇る、フランスを代表する特殊部隊です。その存在は、フランスの治安維持に不可欠であり、今後もテロ対策や人質救出作戦において重要な役割を果たしていくでしょう。その厳格な選抜基準、高度な訓練、そして最新の装備は、GIGNが世界最高レベルの特殊部隊の一つであることを示しています。今後の活動にも注目が集まります。

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