国富

国富とは

国富（英語: National wealth）は、国民全体が保有する資産から負債を差し引いた正味資産のことです。これはストック統計の一つであり、一国の経済規模や豊かさを示す重要な指標となります。

国富の構成要素

国富は、以下の要素を合計して算出されます。

1. 再生産可能な生産資産
在庫
有形固定資産（住宅・建物、構築物、機械・設備、耐久消費財など）
無形固定資産（コンピュータソフトウェア）
2. 非生産資産
土地
地下資源
漁場など
3. 対外純資産

これらの資産から総負債を差し引いたものが国富となります。

国富の計算基準

国富の計算基準には、国連が定めた以下の基準があります。

687SNA基準
687SNA2000年基準
687SNA2005年基準

これらの基準は時代に合わせて改定されていますが、無形の文化資本などは勘定に入らない点が課題として挙げられます。また、土地の価格変動（地価）が国富に大きな影響を与えることも特徴です。

日本の国富の推移

バブル期には地価の急上昇に伴い、日本の国富は大幅に増加しました。しかし、バブル崩壊後には土地価格が下落し、国富に占める土地総額の割合も低下しました。1989年のバブル末期には土地総額が国富の7割近くを占めていましたが、2006年末には5割近くまで低下しています。

ただし、土地資産を除いた国富は、バブル崩壊後も増加傾向を維持しています。これは、生産活動や技術革新などによって生み出される資産が増加していることを示唆しています。

日本の最近の国富は以下の通りです。

2018年末時点：3457.4兆円
2019年末時点：3689.3兆円
2020年末時点：3668.5兆円

これらの数値は、内閣府が発表している国民経済計算関連統計に基づいています。

国富の喪失

自然災害、戦争、経済危機などの要因によって、国富が減少することを「国富の喪失」と言います。国富の喪失は、国民生活や経済活動に深刻な影響を与える可能性があります。

関連項目

国民経済計算
国富論
国の国内総生産順リスト
国民総生産（GNP）
国民純生産
国民総所得（GNI）
県民経済計算

外部リンク

内閣府国民経済計算関連統計
* 『国富』 - コトバンク

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