国府津車両センター

国府津車両センターは、神奈川県小田原市に位置する東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部の車両基地です。主に東海道本線（東海道線区間）、伊東線、横須賀線などを走行する車両の検査・ maintenance を行い、首都圏の鉄道輸送を支える重要な役割を担っています。

概要

東海道本線の輸送力増強と横須賀線列車の総武快速線との直通運転開始に伴い、車両数が増加したため、従来の田町電車区、大船電車区、静岡運転所（いずれも当時の名称）だけでは収容力が不足することから、新たに国府津車両センターが建設されました。同時期には幕張電車区も新設され、東海道線車両は田町電車区と国府津電車区、横須賀線車両は大船電車区、総武快速線は幕張電車区に配置されることになりました。

当車両センターは、JR東海御殿場線の国府津駅と下曽我駅のほぼ中間に位置し、御殿場線の線路の西側に並行しています。車両の入出区は、国府津駅から御殿場線に沿って延びる入出区線を介して行われます。主に仕業検査と交番検査（新系列車両においては機能保全）を担当し、業務の一部はJR東日本運輸サービスに委託されています。収容車両数は410両です。

用地は、1969年頃に東海道本線真鶴トンネル掘削により発生した残土を田畑に埋め立てて造成されました。建設にかかった用地買収費用は約16億円、工事費用は約32億円、総額約48億円（1969年時点の計画）です。

構内

構内は中央付近の事務所を境に、国府津方を電留線、下曽我方を北群線と呼んでいます。電留線は車両の留置用、北群線は検査や清掃作業に使用されます。敷地は南北方向に約1,200m、東西方向に約120mと広大です。

電留線には、御殿場線の線路寄りから1番から21番までの留置線が並んでいます。北群線には、御殿場線の線路寄りから以下の線路があります。

北1番線：電留線の1番線から転削線（車輪転削庫設置）を通して繋がっています。
北2番 - 北4番線：仕業検査・洗浄線（手洗浄作業台設置。洗浄線入り口には車両洗浄機を配置）
北5番 - 北8番線：留置線
北9番 - 北11番線：検修庫（交番検査や機能保全を実施、15両編成×2本が収容可能）
北12番・北13番線：台車検査庫・修繕庫（天井クレーン、リフティングジャッキを備えており、機器の吊り替えや修理等を行う）

当車両センター所属車両のほか、鎌倉車両センター中原支所所属の南武線用E233系の車輪転削も行っています。

歴史

1887年（明治20年）7月：国府津駅開業とともに国府津機関区が開設。
1968年（昭和43年）2月：現在地に国府津機関区国府津電車基地を開設する計画が決定。
1972年（昭和47年）：車両基地の統廃合により国府津機関区は配置車両がなくなり、運転部門（乗務員所属）となる。
1973年（昭和48年）2月：地上設備の工事に着手。
1975年（昭和50年）11月17日：電留線8本にて一部供用開始。
1979年（昭和54年）10月1日：東海道線・横須賀線の分離運転（いわゆるSM分離）に先立ち、電留線15本（配置450両・留置能力280両）の車両基地として、大船電車区・田町電車区などから電車を転入して車両配置が開始。当時は日本国有鉄道東京南鉄道管理局の管轄で略号は「南コツ」（名称は国府津機関区電車基地）。
1980年（昭和55年）10月1日：全面供用開始となり国府津運転所に改称。
1985年（昭和60年）11月1日：運転部門を分離し、国府津電車区に改称。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化によりJR東日本に移管し、東京圏運行本部の管轄となった。略号は「東コツ」。
1996年（平成8年）10月1日：横浜支社の発足により同支社に移管される。略号は「横コツ」。12月には全線が横浜支社の管轄となった相模線用205系500番台が転入。
2004年（平成16年）6月1日：組織改編に伴い国府津車両センターに改称。

配置車両

2024年4月1日現在、以下の車両が配置されています（全て電車）。

E231系1000番台：10両基本編成42本、5両付属編成34本
E233系3000番台：10両基本編成17本、5両付属編成21本
E131系500番台：4両編成12本

これらの車両は、東海道線、伊東線、上野東京ライン、湘南新宿ライン、横須賀線、宇都宮線、高崎線、上越線、両毛線などで運用されています。

過去の配置車両

651系
205系
215系
E217系
クモハ40形
クモユニ74形
クモヤ90形
クモヤ145形
クモヤ143形
113系

国府津機関区時代

国府津機関区時代には、蒸気機関車や電気機関車が配置されていました。

蒸気機関車：1000形、D50形、2120形、2500形、B10形、5500形、D51形、6760形、8550形、C50形、D52形、C12形、C11形
* 電気機関車：ED10形、ED11形、ED12形、ED13形、ED15形、ED54形、EF50形、EF51形、EF52形、EF53形、EF54形、EF10形、ED23形、EF12形、EF13形、EF14形、EF15形、EF57形、ED17形

配置車両以外

時間帯によっては、大宮総合車両センター配置のE257系や、小山車両センター配置のE231系・E233系も留置されることがあります。また、国府津電車基地として供用開始まもない1976年には、営業運転から退いた157系が廃車解体まで疎開留置されました。

もう一度検索