国民同盟会

国民同盟会の概要と歴史

国民同盟会（こくみんどうめいかい）は、1900年9月に設立された日本の政治団体であり、1902年4月に解散しました。この団体は、当時の政党「国民同志会」と混同されることもありますが、異なる活動を展開していました。国民同盟会は、貴族院議長の近衛篤麿を中心に、貴族院議員や衆議院議員、右派や硬派の人々を集め、強硬な対外政策を主張しました。彼らは義和団の乱以降、ロシアの満洲での行動に対して警戒感を強め、日本政府に対して厳しい外交政策を求めました。

結成の背景

国民同盟会の結成に至る背景には、2000年に発生した義和団の乱がありました。この乱の影響で、ロシア帝国は日本に対して朝鮮半島への軍隊派遣を要求してきました。このような状況の中、大韓帝国の高宗皇帝の臣下である玄暎運が日本に来訪し、日韓間での協力を強く求めました。玄は、日本が韓国の内乱や外国軍の侵入に対して防衛することを提案しました。近衛や同盟会の中心メンバーは、日韓国防同盟の必要性を感じ、積極的に影響を与えようとしました。

一方で、東亜同文会の中では、伊藤博文に近いメンバーが政治活動への参加を懸念し、拒否する意見も出てきました。こうした対立や意見の相違を受けて、近衛は新たな組織の結成を決意しました。

国民同盟会の設立

1900年9月24日、近衛は犬養毅や頭山満、中江兆民などの同志を集め、国民同盟会の発起大会を東京で開催しました。この団体は、ロシアの動向によって中国情勢が大きく影響されるとの認識のもと、「支那保全」と「朝鮮の扶掖」を目指しました。

特に、当時の「支那保全」は、義和団の乱を利用する国際的な勢力による中国分割の進展を防ぐことを意味しており、この視点から日本軍の早期撤兵を求めていました。近衛は満洲を列国に開放する構想も運ぶ中で、支持を集めようとしました。

活動内容と支持

国民同盟会は、政治活動の中で多くの新聞社やメディアの支持を受けました。特に、憲政本党や帝国党などの政治団体が参加し、地租軽減や軍備の必要性、外部に対する強硬姿勢などの政策が議論されました。近衛は更に、各地での講演を通して国民同盟会の運動を広め、支持基盤を築いていきました。

政社認定と解散

こうした活動が影響を及ぼし、1901年1月には国民同盟会が治安警察法に基づく政社として認定されたため、取り締まりの対象となりました。その結果、いくつかの貴族院議員が退会し、憲政本党系のメンバーが主導権を握ろうとしたことで内部の対立が激化しました。近衛自身は名目上は国民同盟会に名を連ねることができませんでしたが、実質的な指導者としての地位は保っていました。

1902年1月には日英同盟が締結されたことや、清露間での条約交渉が進展したことで、国民同盟会の活動に対する支持の高まりは一時的に収まります。結果として、国民同盟会は1902年4月に解散しました。しかし、この団体が発信した対露強硬論や国民意識の醸成は、後の日本の外交政策に影響を与えることとなりました。

その後、ロシア軍が満洲から完全に撤退しなかったことから、近衛を中心に新しい対露同志会が結成されることになります。このように、国民同盟会は短命ながらも日本の政治歴史における重要な転機であったと言えるでしょう。

もう一度検索