対露同志会

対露同志会

対露同志会は、日露戦争の開戦を強く主張し、世論を喚起した日本の右翼団体です。アジア主義・国家主義を掲げ、ロシアとの早期開戦を求める運動を展開しました。

結成の背景

義和団の乱後、ロシア軍が満州に駐留を続ける中、当時の貴族院議長であった近衛篤麿は、政府に対し強硬な対露政策を求めました。しかし、政府がこれを受け入れなかったため、近衛は自ら世論を喚起することを決意し、国民同盟会を結成しました。国民同盟会は、1902年に露清協約が締結されたことを機に解散しましたが、近衛の行動は国粋主義者や対外硬派からの注目を集め、彼の周辺に人々が集まるようになりました。

結成と活動

1903年に入り、ロシアが満州からの撤兵計画を中止すると、近衛とその支持者たちは活動再開の動きを高め、対外硬同志会を結成しました。1903年4月8日には上野公園梅川楼で大会を開催。同時期に、戸水寛人らが七博士建白事件を起こすと、近衛らの活動も活発化し、同年8月9日に神田錦旗館で再度大会を開き、対露同志会として改めて旗揚げしました。

会長には近衛篤麿が就任しましたが、病床にあったため、元内閣法制局長官の神鞭知常が委員長として実質的な責任者を務めました。頭山満、内田良平、平岡浩太郎などの右翼の大物や、後の日露戦争で活躍する花田仲之助など主戦論者の軍人が参加し、頭山ら7名が相談役を務めました。1903年10月5日には歌舞伎座で全国大会を開催し、対露宣戦布告を求める上奏を行うことを決議しました。

解散とその後

しかし、1904年1月1日に会長の近衛篤麿が急逝し、同年2月6日に日本がロシアに宣戦布告したことで、対露同志会は代表者不在と当初の目的達成を理由に解散しました。さらに、委員長の神鞭知常も戦争中の1905年6月21日に病死しました。

残された幹部たちは、ポーツマス会議の開催に際し、対外硬派を結集して講和問題同志連合会を結成し、ロシアに対する譲歩に反対する運動を起こしました。

参考文献

山名正二著『日露戦争秘史・満州義軍』月刊満州社東京出版部、1942年

関連項目

国民同盟会

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