国民更生金庫

国民更生金庫

国民更生金庫は、第二次世界大戦中に存在した日本の政策金融機関です。戦時下の経済状況に対応するため、中小商工業者の救済を目的として設立されました。

概要

1940年（昭和15年）10月、政府は「中小商工業者ニ対スル対策」を打ち出しました。これは、総動員体制下における物資統制により、事業の継続が困難となった中小商工業者を支援するためのものです。同年12月、基金200万円の財団法人として国民更生金庫が暫定的に発足しました。

翌1941年（昭和16年）には、国民更生金庫法（昭和16年3月5日法律第42号）が制定され、特殊法人として改組されました。資本金は当初2000万円で、後に1億円まで増資され、そのうち1900万円は国が出資しました。本所は東京市に置かれ、仙台・横浜・富山・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・福岡に支所、各県庁所在地には出張所が設置されました。

目的と事業内容

国民更生金庫の目的は、「時局の要請に応し転業または廃業する商工業者の資産および負債の整理を促進しその更生を図ること」でした。具体的には、以下の事業を行いました。

資産管理・処分: 転廃業する事業者の不要となる工場、機械、商品などの営業用資産を引き受け、管理・処分しました。
資金融通: 資産を担保に資金を貸し付けました。
債務引受・保証: 必要に応じて、債務の引受や保証を行いました。

金庫は、事業者の資産を引き受け、その処分代金と貸付金を相殺しました。もし処分代金が貸付金を下回る場合には、国がその損失を負担しました。1941年7月から1947年3月までの期間に、累計25億円の資産が金庫に引き受けられました。

解散

国民更生金庫は、1947年（昭和22年）に閉鎖機関に指定され、解散しました。戦時下の特殊な状況下で、中小商工業者の救済という重要な役割を果たしましたが、終戦とともにその役目を終えました。

参考文献

池元有一「企業整備における国民更生金庫の役割 - 戦時期名古屋の機械工業を中心に」『国士舘大学政経論叢』第22巻第1号、国士舘大学政経学会、2010年、31-51頁、NAID 40017352820。

関連項目

* 金庫 (特殊法人)

もう一度検索