閉鎖機関

閉鎖機関とは

閉鎖機関とは、第二次世界大戦後、連合国最高司令官（GHQ）の要求に基づいて閉鎖された機関のことであり、その法的根拠は「ポツダム命令」に由来します。具体的には、1945年公布の省令「外地銀行、外国銀行及特別戦時機関ノ閉鎖ニ関スル件」と、その後継である1947年公布の閉鎖機関令によって定められました。

概要

閉鎖機関の指定は、当初SCAPIN（連合国最高司令官指令）や省令によって行われましたが、1947年からは閉鎖機関整理委員会（CILC）がその役割を担いました。指定対象となったのは、南満洲鉄道、満洲重工業開発、朝鮮銀行、台湾銀行、東洋拓殖、南洋拓殖といった植民地経営に関与した団体、横浜正金銀行、住宅営団、そして重要産業統制法や業界法によって設立された統制会社・統制団体などです。また、独逸東亜銀行や日仏銀行といった枢軸国系の外国金融機関の在日支店も含まれていました。これらの機関は、第二次世界大戦下の戦時経済政策に深く関わっていました。

閉鎖機関令第1条では、「連合国最高司令官の要求に基き、その本邦内における業務を停止し、その資産及び負債の整理をなすべきものとして大蔵大臣及び主務大臣の指定する法人その他の団体」と定義されています。

特殊清算

閉鎖機関の清算は、民法、商法、破産法といった通常の法体系ではなく、閉鎖機関令を中心とする特別な法令に基づいて行われました。このため、「特殊整理」（後に「特殊清算」）と呼ばれました。閉鎖機関令は、各種銀行券の交換レートに関する改正も行い、通貨の為替レートを銀行や時期、地域によって細かく定めるなど、戦後の混乱期における経済状況を反映した内容となっていました。また、独逸東亜銀行の債務を日本銀行が肩代わりする省令も公布されました。

特殊清算は、当初CILCや特殊整理人によって進められ、在外活動閉鎖機関の特殊清算人には石橋良吉が選任されました。CILCは1952年に解散し、現在は財務大臣が選任した特殊清算人がその任に当たっています。

閉鎖機関の数とその後

閉鎖機関として指定を受けた団体は1,091団体（後に4団体が解除）に上り、1956年3月1日時点で1,055団体の清算が結了しています。一方で、帝都高速度交通営団や東北開発のように、特殊会社や営団であっても閉鎖を免れた機関も存在しました。また、朝鮮銀行の日本国内における残余財産を基に日本不動産銀行が設立されるなど、戦後の経済再建に繋がった事例もあります。

主な閉鎖機関

南満洲鉄道
満洲重工業開発
朝鮮銀行
台湾銀行
東洋拓殖
南洋拓殖
横浜正金銀行
住宅営団
独逸東亜銀行
日仏銀行

閉鎖機関整理委員会資料

CILCが業務で収集した資料は、長らく大蔵省が保管していましたが、2000年に東京大学と東京都立大学の共同作業によって整理され、現在は国立公文書館つくば分館に所蔵されています。これらの資料の一部は、国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧可能です。

閉鎖機関に関する資料は、戦後日本の経済史を研究する上で貴重な情報源となっています。

もう一度検索