国民議会 (ベネズエラ)

ベネズエラ国民議会：激動の歩みと国際社会の反応

ベネズエラの[立法府]]である国民議会]は、[[一院制で定数277議席、任期5年。小選挙区比例代表並立制で議員を選出する。しかし、その歴史は、2015年以降、大統領ニコラス・マドゥロ政権との激しい権力闘争によって彩られてきた。

2015年選挙と政権との対立

2015年の国民議会選挙で、反マドゥロ政権の野党が議席の三分の二を獲得。これにより、マドゥロ政権は国民議会を通じた立法行為が困難となり、最高裁判所を利用して国民議会の権限を制限する策に出た。具体的には、国民議会が可決した法案を最高裁に送り、違憲判決によって無効化する方法が用いられた。2016年には、国民議会が可決した5つの法案のうち4つが、この方法で無効とされた。さらに、最高裁は野党議員3人の資格を剥奪。これを理由に、国民議会そのものの法的有効性を否定し、事実上、立法権を掌握した。

制憲議会の設置と立法権の奪取

マドゥロ政権は、2017年、新憲法制定を理由に制憲議会選挙を実施。野党は選挙をボイコットし、制憲議会は与党が全議席を占める結果となった。そして、制憲議会は国民議会から立法権を奪取。国民議会はこれを拒否し、国際社会に訴えたが、マドゥロ政権支持の最高裁は国民議会の決定を無効とした。

グアイド暫定大統領宣言とその後

2019年、国民議会議長フアン・グアイドが、マドゥロ政権の正統性を否定し、暫定大統領就任を宣言。多くの国がグアイド氏を支持したが、マドゥロ政権は依然として権力を維持した。

2020年選挙と国民議会の現状

2020年の国民議会選挙では、主要野党がボイコット。与党が勝利し、制憲議会は解散。国民議会は立法権を回復したかに見えた。しかし、国際社会の一部は選挙結果を認めず、2015年選挙で選出された議員で構成される国民議会を支持し続けた。2022年には、野党はグアイド氏の暫定大統領からの解任を発表し、暫定政府は解散した。その後、アメリカ合衆国は2015年の国民議会の承認を改めて表明したものの、議長の座は再び議論となっている。

国際社会の対応

[国民議会]]とグアイド暫定大統領への対応は、国によって異なっている。欧州連合]は当初、[[国民議会をベネズエラ唯一の民主的機関として支持し、グアイド氏の暫定大統領就任も承認した。しかし、2020年選挙後、EUはグアイド氏の暫定大統領の承認を取り下げた。一方、イタリア、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スロバキア、ギリシャ、ウクライナ、モルドバ、キプロス、中華民国（台湾）、ジャマイカ、セントルシア、ガイアナ、モロッコなどは、グアイド氏の暫定大統領就任を明言せずに国民議会への支持を継続した。

象徴的な出来事：チャベスの肖像画撤去

2016年以前、国民議会の議場正面には故ウゴ・チャベス大統領の巨大な肖像画が飾られていた。しかし、野党が議席の三分の二を握った2016年1月、議長の決議によって撤去された。これは、国民議会がチャベス・マドゥロ政権からの独立性を宣言した象徴的な出来事と言える。

国民議会をめぐる権力闘争は、ベネズエラの政治状況を反映し、国際社会の対応にも影響を与え続けている。今後の展開が注目される。

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