国民連合政府

国民連合政府構想について

国民連合政府構想は、2015年9月19日に日本共産党が提唱したもので、当時の民主党、維新の党、生活の党、社民党に対して選挙協力を呼びかけ、自民党政権を打倒し政権交代を実現することを目的としています。この構想は、安倍政権による安全保障関連法案の成立に対する批判から生まれました。

安倍政権に対する反発

安倍政権は、集団的自衛権の行使容認やPKO活動の拡大を盛り込んだ安全保障法案を推進しました。この法案は日本国憲法第9条に抵触するとの指摘が多く、広範な国民や野党から激しい反発を受けました。SEALDsや市民連合が主導する反対運動では、「野党が単独では政権の暴走を止められない」との声が上がり、日本共産党は法案の廃止を訴える中で連立政権の構想を提案しましたが、他党からの反対意見によって政権樹立の話は先送りとなりました。

選挙協力の進展

第24回参議院議員通常選挙では、政策協定を結んだ結果、11の一人区で勝利を収めました。その後、第48回衆議院議員総選挙を前に民進党が希望の党への合流を模索した際、共産党は希望の党を「自民党の補完勢力」と批判し、共闘の対象にはしないことを明言しました。しかし、希望の党に所属しない議員や社民党との共闘は継続する姿勢を示しました。民進党内部ではリベラル系議員が立憲民主党を結成し、最終的には立憲民主党、社民党、共産党、および一部の無所属議員が合同で選挙に臨むことになりました。

歴史的背景と根拠

国民連合政府構想は、1998年に日本共産党の不破哲三前議長が述べたように、当時の野党との共闘経験を基に形成されました。また、公安調査庁はこの構想を、1960年代の安保反対政府構想と共通するものとして分析しています。このように、国民連合政府構想は、特に共産党が綱領に掲げる「民主連合政府」の理念を背景にしています。

主要目標と任務

国民連合政府が追求するのは、戦争法の廃止と立憲主義の回復です。これは、衆参両院の選挙で戦争法廃止に賛成する勢力が多数を占めることを目指し、安倍政権を退陣させた上での実現を目指します。この政府の任務は、戦争法の撤回と、政治に立憲主義と民主主義を復活させることです。任務が達成された場合には、解散・総選挙を行い、国民の意思をもとに今後の政治を決定することを考えています。

他党の反応

民主党（民進党）は、共通目的に基づく選挙協力には前向きですが、連立政権については慎重な姿勢を見せています。立憲民主党の枝野幸男は共産党との連立に否定的でありつつも、選挙協力を模索する意向を示しています。一方、国民民主党や維新の党は共産党との連携には懐疑的で、社民党は連合政府構想に対して前向きな姿勢を表明しています。

このような様々な意見が交錯する中で、国民連合政府構想は現在の日本政治の中で重要な位置を占める提案となっています。この構想が具体化することで、日本の政治に新たな展望がもたらされることが期待されています。

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