国王一座

国王一座：シェイクスピアと栄華を極めた劇団の興亡

国王一座（The King's Men）は、ウィリアム・シェイクスピアがその才能を輝かせたことで名高い、イギリスを代表する劇団です。エリザベス1世の時代には「宮内大臣一座」として活動していましたが、1603年にジェームズ1世が即位すると、王室の後援を得て「国王一座」と改称されました。この改名と王室からの庇護は、劇団のさらなる発展に大きな弾みをつけることになります。

輝かしい始まりと主要メンバー

1603年の設立勅許状には、ローレンス・フレッチャー、ウィリアム・シェイクスピア、リチャード・バーベッジら、当時を代表する名優たちの名前が記されています。彼らは宮内官待遇に任命され、国王の戴冠式には特製の衣装が支給されるなど、王室からの厚い信頼を得ていました。シェイクスピアをはじめとする劇作家たちの優れた戯曲と、バーベッジら実力派俳優たちの演技は、観客を魅了し、国王一座を瞬く間に人気劇団へと押し上げました。

成功の軌跡：宮廷公演と劇場経営

国王一座は、夏季の野外劇場公演に加え、冬季には宮廷での公演を盛んに行っていました。エリザベス時代と比べ、その回数は飛躍的に増加し、シェイクスピアの代表作をはじめとする数々の戯曲が上演されました。10ポンドという高額な報酬が支払われた宮廷公演は、劇団の財政基盤を強固にするのに貢献しました。

さらに、国王一座はグローブ座に加え、屋内劇場であるブラックフライヤーズ座も所有していました。ブラックフライヤーズ座は天候に左右されず公演ができるという大きな利点があり、グローブ座よりも高額な入場料を設定することで、より多くの収入を得ることができました。1613年のグローブ座火災という不幸にも見舞われましたが、2つの劇場を所有していたことで、台本や衣装などの損失を最小限に抑え、劇団の活動を継続することができました。

困難と変革：ペスト流行と主要メンバーの死

国王一座の歩みは順風満帆ではありませんでした。ペストの流行によってロンドンの劇場が閉鎖された際には、地方巡業を行い、その間も王室からの特別手当を受けて活動を続けました。また、リチャード・バーベッジやオーガスティン・フィリップスといった主要メンバーの死、そしてシェイクスピア自身の死など、大きな損失を経験しています。しかし、新しいメンバーが加わり、劇団は存続し続け、シェイクスピアの後継としてジョン・フレッチャーやフィリップ・マシンジャーといった才能ある劇作家たちが活躍しました。

新たな勅許と経済的成功

ブラックフライヤーズ座を巡る近隣住民とのトラブルや、ライバル劇団との競争など、国王一座は様々な困難に直面しました。しかし、1619年には新しい勅許を取得し、経済基盤を強化しました。新たな株主の加入や、新たな才能の台頭によって、国王一座はロンドンの演劇界において揺るぎない地位を築いていきました。

衰退と終焉：内戦と劇場閉鎖

1642年、清教徒革命とイングランド内戦の勃発により、ロンドン市内のすべての劇場が閉鎖されました。国王一座も例外ではなく、その輝かしい歴史に幕を閉じました。その後、王政復古によって劇場が再開された際には、国王一座という名称の劇団が再興されましたが、それは以前の劇団とは全く別の組織でした。

シェイクスピアと国王一座：永遠の遺産

国王一座は、シェイクスピアをはじめとする多くの優れた劇作家、そして名優たちによって築かれた、イギリス演劇史に燦然と輝く劇団でした。彼らの活動は、膨大な数の戯曲、そして劇場建築や運営、俳優養成といった様々な形で、後の演劇界に多大な影響を与え続けています。彼らの功績は、現代においてもなお、高く評価されています。

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