国立人類学博物館

国立人類学博物館

国立人類学博物館（MNA）は、メキシコシティに位置し、メソアメリカの豊かな考古学的および民族資料を収集・展示しています。1964年にオープンしたこの博物館は、アメリカ大陸で最大規模を誇り、毎年約200万人もの訪問者が足を運びます。

概要

博物館の現在の建物は、チャプルテペク公園内にあり、アドルフォ・ロペス・マテオス大統領の元で建設されました。館内には22の常設展示室と2つの企画展示室、3つのホールが備わっています。また、国立人類学歴史学図書館も併設されており、研究者や学生のための重要な資源となっています。ここでは、太陽の石やオルメカの巨石人頭像をはじめ、多様な文化や歴史的遺物が展示されており、そのコレクションはメキシコ全土から集められています。

主な展示物に挙げられるのは、テオティワカンの神々に捧げられた彫刻やパカル大王の墓の遺物です。また、モンテ・アルバンの葬儀品やトゥーラ・シココティトラン出土のトルテカの地図など、訪問者にメソアメリカの歴史的背景を深く理解させる貴重な資料が揃っています。

歴史

先コロンブス期から、ナワ族は古代の遺跡やピラミッドに興味を抱き、これら遺物を再利用し、独自の宗教文化を形成してきました。博物館の起源は18世紀末に遡り、王立メキシコ大学内に保管されたコレクションがきっかけで、メキシコ国内での博物館の歴史が始まりました。

19世紀には、アレクサンダー・フォン・フンボルトをはじめとする学者がメキシコを訪れ、先住民の歴史と芸術の重要性を認識。その影響を受け、1825年にはメキシコ国立博物館が設立されました。その後、コレクションが増える中で博物館は1910年に国立考古・歴史・民族誌博物館として再開し、1940年には現在の国立人類学博物館へと改称されました。

建物

現在の博物館は、1963年に着工し、19か月後の1964年に完成しました。建物は延べ面積が45,000平方メートルあり、そのうち約30,000平方メートルが展示エリアとして利用されています。デザインにはウシュマルの影響が見られ、中庭にはアステカ文化を象徴する池があります。この池は、湖に住む文化を示唆する役割を果たしています。

展示室

博物館の展示室は全部で24室あり、うち22室が常設の展示に使用されています。1階は先コロンブス期のメキシコの文化や人類の歴史を貴重な資料と共に紹介し、2階には現代メキシコの先住民の文化を反映した展示が行われています。各部屋は地域ごとに分かれており、多様な文化を理解する手助けとなっています。

例えば、アステカ時代やオアハカの諸文化をテーマにした部屋があり、さらに現代のメキシコ先住民に関する展示も行われています。2005年には、メソアメリカの球戯場のレプリカが展示され、訪問者はその中を歩くことができるようになりました。

この博物館は、メキシコの文化と歴史を知るための重要なスポットであり、多くの人々に深い印象を与えています。

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